ライトラインは当初、2022年3月の開業予定だったものが、工事の遅れなどにともない2023年3月、さらに同年8月26日へ再延期されており、ライトライン開業に先立ち駅東側の各種施設が開業する形となったのである。
実際に、ライトラインに乗ってみた。
1編成が輸送できる人数は、約160人。取材初日は平日の日中で、ライトラインにはビジネスマン、主婦、高齢者などが乗降していたが、車内はさほど混んでいなかった。
その翌日は秋分の日の土曜日で、午後12時前後に乗車すると、家族づれや鉄道ファンなどが数多く乗車しており、さながら観光列車という雰囲気だった。北関東から東北にかけては、LRTや路面電車が運行していないため、ライトラインには物珍しさがあるのだろう。
宇都宮市によると、2023年9月5日時点のライトラインの利用者数は、平日が1日およそ約1万2400人、休日で約1万6800人である。
路線は、JR宇都宮駅東口からホンダの事業所などがある芳賀・高根沢工業団地までの全長およそ14.6km。停留場は19カ所あり、乗車時間は最大で約44分だ。
運行時間は、午前6時台から午後11時台まで。オフピークの時間帯は約10分間隔、朝晩のピーク時は約6分間隔で運行している。
運賃は150円~400円だが、宇都宮の地域連携ICカード「totra(トトラ)」を使い、沿線に5カ所あるトランジットセンターでバスやエリア限定乗り合いタクシーを組み合わせると、乗継割引が受けられるという。
ただし、定期券利用者は割引の対象外であるほか、バス運賃が400円を超える場合、割引対象となる時間帯に制限がある。
モビリティ・マネジメントという考え方
2日間の宇都宮滞在の中では、ライトキューブ宇都宮で開催された「第18回 日本モビリティ・マネジメント会議(JCOMM)」に参加した。
モビリティ・マネジメントを国土交通省の解説を借りて紹介すると、「1人1人のモビリティ(移動)が、社会的にも個人的にも望ましい方向(過度な自動車利用から公共交通等を適切に利用する等)に変化することを促す、コミュニケーションを中心とした交通政策」である。
今回の会議には、全国各地から地方自治体、学識関係者、交通事業者などが集まり、日本の各地域の公共交通のあるべき姿について議論が行われた。
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