LMでなにより驚くのは、前席と後席のあいだに完全なパーティションを設けた仕様が用意されること。そこには、会話用の小さなウインドウ(ブラックアウトも可能)と、48インチの大型ディスプレイが設けられている。
しかも、後席のシートはフルフラットが可能。新幹線のグランクラスだって、フルフラットで休んでいくことはできない。
日本で販売されなかった従来型のLMは、急遽作った感もあり、シートのバックレストを倒してオットマンを上げても窮屈感があったのは事実。新型は、そうしてもスペース的に余裕がある。
今回、乗ったモデルのドライブトレインは、2.4リッターエンジンを使ったハイブリッド。高速での合流加速のような、急いで大トルクを必要とする加速は体験していないが、普通のペースで流すようなときに力不足は感じなかった。
テーマは「心地よく感じる自然な静けさ」
静粛性はとても高いものの、路面からのショックが完全に遮断されるわけでないし、回転が上がるとエンジン音もやや聞こえてくる(後席には届きにくい)。
でも、「それは乗員へのインフォメーションとして、むしろ必要だと考えました」とするのは、開発を担当した横尾貴己チーフエンジニア(CE)。「心地よく感じる自然な静けさ」がテーマだったそうだ。
「短い試乗ではわかりにくいと思いますが、新型LMの真価は長距離移動にあります。たとえば名古屋から御殿場まで東名高速を走ってきても、本当に疲れないと思います」
基本プラットフォームは先述のとおり、トヨタの新型アルファード/ヴェルファイアと共用だが、「味付けはまったく違う、あきらかなレクサス車です」と横尾CEは強調する。
「後席の居心地のよさを重要視して開発していますので、たとえば後席部分のボディは、剛性が上がる一方で、しなやかさが犠牲になる可能性のある構造用接着剤の塗布面積は控えめに。その分、減衰用接着剤を多めに使っています」
加えて、リニアソレノイド式アクチュエーターと周波数感応バルブを併用した「周波数感応バルブ付きAVS」をレクサス車として初採用するのもトピックだ。
「低周波から高周波までの幅広い領域できめ細かく減衰し振動を軽減し、速度を問わずつねに上質な乗り心地を提供します」とレクサスでは、効果を喧伝する。
後席の快適性を重視したドライブモードセレクト「Rear Comfort」モードを用意するのも、同じく“初”だ。
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