レクサス「LM」はアルファードと何が違うのか? 発売間近の3車試乗で見たレクサスの新世界観

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プレスリリースには、「AVSの減衰力特性は後席の乗り心地を優先しつつ、アクセルやブレーキを統合制御することで加減速時の姿勢変化がより少なくなるセッティングとしています」と書かれている。

静粛性だけでなく、“静粛感”にこだわったと開発陣。無音でなく、先述したとおり、「心地よく感じる自然な静けさ」の実現が目標だったそうだ。

ノイズの周波数帯域と発生部位などを解析し、発生するノイズ(源音)を小さくすることをはじめ、車内への侵入を防ぐ(遮音)、そして車内のノイズを下げる(吸音)の3ステップが、「自然な静けさ」の実現に必要だったという。

元気のあるときは大型モニターで映像を楽しめるし、マークレビンソンブランドのオーディオは、前面から音が聴こえてくる設定で、繊細で疲れない音場づくりが印象的。

後席に備わるタブレットのようなマルチコントローラー(写真:レクサス)
後席に備わるタブレットのようなマルチコントローラー(写真:レクサス)

フルフラットにするときの操作は、航空機のようにボタンでワンタッチ……とはなっていない。これは開発陣の見識で、「いざというときのことを考えると、フルフラットの姿勢での乗車はお勧めできないため」(開発エンジニア)とのこと。

フルフラットシートを備えた4人乗り仕様を体験して、「レクサスはLMで(トヨタはさきごろ発表したSUV型センチュリーで)新しいマーケットの創出に成功するかもしれない」と私は思った。

「さすがにフルフラットにはできないんです。ほしい人は少なからずいるかもしれませんが……」。そうBMWのエンジニアが話していたのを思い出した。BMWの新型「7シリーズ」もシートは大きめにリクライニングするが、フルフラットにはならない。ここに違いがある。

コンパクトSUV「LBX」は走り良し

続いて乗ったのは、レクサス最小のサイズで、軽快な走りが楽しめて、そして、これまでアルファベット2文字の車名を続けてきたレクサス車として、初めて3文字の車名を持つ「LBX」だ。

コンパクトでも上質さとドライブしての楽しさを追求して開発中だという(写真:レクサス)
コンパクトでも上質さとドライブしての楽しさを追求して開発中だという(写真:レクサス)

全長4190mmの比較的コンパクトサイズのハッチバック。ただし、レクサスでは「コンパクトサイズながらも走りやデザインも上質であるサイズのヒエラルキーを超えたクルマをつくりたい」という、ブランドホルダーである豊田章男氏の言葉を紹介している。

プラットフォームは、コンパクトカー向けTNGAのGA-B。今回、私が乗ったクルマは、1.5リッター3気筒に電気モーターを組み合わせたハイブリッドだ。

これがなかなか楽しい。加速性は期待以上だし、カーブを曲がるときの身のこなしも素直で、「ナチュラルな」と表現したくなる操縦性を備えている。

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