IHIの最高益を牽引した"翼の下の力持ち" 重工大手2社の航空部門トップに聞く(下)

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――IHIは複数の旅客機エンジンに関わっているが、各プロジェクトの収益貢献度は?

当社が参画しているプロジェクトで量産段階にあるのは、「V2500」(搭載機体はエアバスのA320)、「GE90」(ボーイングの777)、「CF34」(ボンバルディアのCRJ)、「GEnx」(ボーイングの787)の4つ。

このうち、一番歴史のあるV2500は開発開始が1980年代で、完成エンジンの累計販売台数も6000台以上と格段に多い。当然、利益貢献度で見ても最大の柱だ。さらに、1990年代に量産が始まったGE90、その後のCF34もすでに本格的な投資回収期に入った。この3つのプロジェクトが収益を引っ張っている。

GEnxは量産開始から数年と日が浅いため、ステージとしてはまだ増産対応などの先行投資段階で利益には貢献していない。ただし、搭載されるボーイングの最新鋭787型機は受注が絶好調で、エンジンも相当な数が期待される。787用としてはGEnxのほかに英ロールスロイスのエンジンもあるが、エアラインの6割以上がGEnxを選んでいる。将来が非常に楽しみだ。

民間航空エンジン開発は2巡目に入った

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航空エンジンの部品を製造している福島県相馬工場

――IHIの民間航空エンジン事業は今、どういうステージにあるといえるのか。

1980年代に民間分野へ進出してから、およそ30年が経過した。最初のプロジェクトがA320用のV2500で、次が777用のGE90だった。

今はちょうどA320の後継機、A320neo用の新型エンジン「PW1100G-JM」の量産開始に向けた準備をやっているところなので、2巡目に入ったことになる。777の後継機、777Xに搭載される「GE9X」の開発・製造にも参画する。こちらはこれから本格的な開発作業が始まる。投資回収という点では、既存のエンジンから上がるキャッシュが増え、それを次の新たなエンジンの開発・量産投資に投じるステージに入っている。

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