川崎重の好業績支えるボーイングとの深い縁 重工大手2社の航空部門トップに聞く(上)

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川崎重工はボーイング777や787(写真)の胴体、主脚格納部などの製造を担っている(写真:BOEING)
重工メーカー大手、川崎重工業とIHIの業績が好調だ。両社が発表した2014年度決算は、川重の営業利益が872億円、IHIも632億円と、そろって過去最高となった。牽引役はいずれも民間航空機の関連事業。川重は旅客機の胴体など、IHIは旅客機エンジンのモジュール部品製造を主力とする。
民間航空機産業は着実な成長が期待される分野だが、はたして両社の実力は本物なのか――。東洋経済オンラインでは、両社の航空関連事業トップのインタビューを2回に分けて掲載する。1回目は、川重の航空宇宙カンパニーを率いる石川主典常務に、民間航空機事業の現状や今後の課題などを聞いた。
第2段「IHIの最高益を牽引した"翼の下の力持ち"」はこちら

「4番バッター」の期待に数字が伴ってきた

石川主典(いしかわ・むねのり)●1975年川崎重工業入社。航空宇宙カンパニー技術本部副本部長、生産本部長を経て、2013年から同カンパニープレジデント(撮影:梅谷秀司)

――2014年度の連結営業利益872億円のうち、航空宇宙部門は363億円と全体の4割以上を稼ぎ出した。前期と比べても、部門としては4割近い増益だ。

航空宇宙部門は以前から社内で「将来の4番バッター」と期待されてきたが、ようやく数字が伴ってきた。収益の伸びという面では、やはり需要が旺盛な民間航空機分野が牽引役だ。

米ボーイング社の777型機と787型機用の胴体の一部、主脚格納部などの製造が大きな柱だが、777関連、787関連とも操業度が高く、非常にいい。部門の売上高構成を見ても、こうした民間航空機分野が防衛分野と並ぶまでに育ってきた。

――ボーイングとの取引はドル建てなので、円安要因も大きいのでは?

昨今の円安が追い風になっているのは事実だが、円安でたまたま利益が出ているわけではない。2008年ごろから数年間続いた円高局面において、生き残るために血のにじむようなコスト削減をやった。その後も、現場は絶えず改善活動をやっている。今の数字は、そうした努力があってこそだ。

次ページ787は非常に大きなチャレンジだった
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