韓国が「中国ファーウェイ製スマホ」で大騒ぎの訳 韓国がアメリカの対中制裁の対象になるリスク

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

発表によれば、レノボがスマホを発売する数カ月前に、すでに半導体を入手していたという。時間軸をたどれば、アメリカの華為制裁が発動されるころに近似するのだった。

そして、今回の事件である。仮に、製品が下流のユーザーに到着したのがアメリカの制裁発動後であった場合、華為が現在手に入れているメモリー半導体は、SKハイニックスからの直接入手を排除できる。しかし第三国を経由した「迂回輸入」の疑いが強いと多くの専門家が分析している。

また韓国の業界関係者によれば、SKハイニックスの半導体は香港などの地域の部品仲介業者を通して中国市場に入った可能性があり、「仲介業者は大量の在庫を華為に売った可能性が強い」と指摘している。

米韓との輸出免除措置交渉に影響か

製品は第三国やその他サプライヤーを通して華為に入った可能性があり、必ずしもSKハイニックスの過失とは言えない。しかし今回の騒動では韓国内の業界専門家内でも、アメリカは中国への制裁を強め、その際、現在米韓双方で協議中の「アメリカ半導体製造装置の対中輸出規制の適用除外措置の1年延長」について変数が加わるだろうと考えているようだ。

2022年10月、アメリカ商務省は中国に対し全面的な半導体輸出に関する規制を実施し、同国への半導体製造装置の輸出も制限した。この中には、中国に膨大な半導体工場を抱えるサムスンやSKハイニックスといった韓国企業も対象となった。

しかし、韓国企業への影響を考えて1年間の除外措置を設け、この間引き続きアメリカ製の装置を中国の工場で使用し、半導体を製造することを許可されたのである。

本措置は2023年10月11日に期限を迎えるが、米韓双方ではすでに延長に向けた協議が始まっていた。韓国メディアによれば、今回の事件が発生する前、アメリカ政府は延長を決めていただけでなく、韓国企業が繰り返し求めていた「VEU」プログラムについても長期的に受け入れる準備を進めていたという。

つまり韓国企業が制限なく安定的に特定の設備を導入できるものであり、現在、サムスンやSKハイニックスの中国工場はこのVEUのリストに載っている。

しかしながら華為がもたらしたショックによって、韓国メモリー半導体の供給網にほころびがある可能性が指摘され、中国も依然として高次半導体の製造ができないことが明るみに出た。

総合的に考え、当初、安心して「除外措置延長」の交渉ができると思われたが、かえって韓国の工場がアメリカの調査対象になる可能性が生まれたのである。

いったん、延長ができなくなるとどうなるのか。韓国の一部業界専門家は、最悪、サムスンの4割のNAND型フラッシュメモリ、そしてSKハイニックスの2割のNAND型フラッシュメモリと4割のDRAMの出荷に影響すると語っている。

韓国の国際経済政策研究所グローバルおよびエリアスタディセンターのベテラン研究員である鄭亨坤(チョン・ヒョンゴン)は、「アメリカはいつでも中国への制裁を強める可能性があり、私たち(韓国)の企業の中国での業務展開をより困難なものにするだろう」と警告する。

2023年10月11日に結果が明らかになる除外措置延長交渉は、もしかしたら対中制裁強化を見極める最初の指標になるかもしれない。

台湾『今周刊』
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事