電力制約で鉱工業生産が頭打ちに
こうした電力制約は、生産活動にどのような影響を与えるだろうか。
まず、月間最大需要と鉱工業生産指数(季節調整済み)との関係を見よう。月間最大需要には季節変動があるので、5カ月の移動平均とする。下のグラフは、東京電力管内についての両者の関連を示したものである。
両者の間には関係がある。リーマンショック以前には鉱工業生産指数は100を超えていたが、移動平均の電力最大需要も、ほとんどの月で5000万キロワットを上回っていた。ところが、リーマンショック以降、輸出の落ち込みで生産が減少した。それと同時に、電力最大需要も5000万キロワットを下回るようになった。その後、中国に対する輸出の増加や政府のエコカー購入支援策により生産は回復した。これに伴い、10年1月からは、電力最大需要も5000万キロワットを上回るようになった。
通常の年であれば、3月に各電力会社が「供給計画」を公表する。しかし、今年の3月に東電が用意していた計画は震災前の状況を前提としたものであったため、発表を中止した。震災後の状況を踏まえた計画は、まだ公表されていない。