肥満で「やせるべき人」「やせなくてOKな人」の違い 販売準備中、2つの「肥満治療薬」はどう使うか

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「肥満は、2型糖尿病や脂質異常症(中性脂肪やコレステロールが高い状態)、高血圧、心臓の病気、脳梗塞、腰や膝の障害など、さまざまな健康障害を引き起こす可能性があります。肥満の中から健康障害を持つ人、起こりそうな人を『肥満症』としてピックアップし、適切に治療して病気の発症や悪化を防ぐ――。それが肥満症治療のコンセプトです」

健康障害を引き起こすカギは、内臓脂肪の蓄積。中年男性や閉経後の女性によく見られる「ぽっこりお腹」だ。

内臓脂肪は悪玉物質を作り出し、動脈硬化やさまざまな病気をもたらすと考えられている。会社や自治体で行われる特定健診で腹囲を測るのも、内臓脂肪の蓄積を評価するため。ぽっこりお腹は見た目よりも健康上の問題のほうが大きい。

食事・運動と手術の間の治療

肥満症の治療は、食事療法・運動療法・行動療法(体重や生活リズムをグラフ化するなどして、問題に自ら気づき、修正する治療法)が基本だ。横手医師によると、これらを行うだけでも、3~6カ月間で体重の3~5%の減量が可能だという。

しかし、「食生活が豊かになり、公共交通機関や自動車などの移動手段が充実した現代社会は、太りやすい環境であるのは否めません。仕事で夕食の時間が遅くなることや会食が必要なこともあるでしょう。努力しても体重を減らせない、減量に成功しても長続きしない状況になっています」。

そのような場合、特に高度肥満症を治す手立てとしては、食事摂取量を抑えるために胃の一部を切除する手術にほぼ限られていた。一度小さくした胃を元に戻すことはできず、すべての人に行える治療でもない。

「基本となる食事療法・運動療法・行動療法と、外科手術とのすき間を埋める治療が求められていました」と横手医師は解説する。それが今、期待されている肥満症治療薬だ。

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