ダメな経営者は「自社が何業なのか」わかってない 自社志向、自社の商品志向に陥っている状態
カード会社のアメリカン・エキスプレスは、元々は「貨物輸送業」です。単なる輸送業ではありません。エキスプレスというくらいですので、列車を走らせ、「スピーディー」「安全」を強みとした貨物輸送を始めたのです。1850年のことです。
その「スピーディー」「安全」を「人よりも荷物が先に届く」「荷物損害全額保証」として商品化し、事業は成長します。
その後、「貨物の輸送」から、「海外に移動する人のサポート業」に事業を再定義し、マネーの輸送として、トラベラーズチェックを発行し、世界各地のアメックスのオフィスは、旅行者にとって安心できる相談案内所としての役割も担っていたと言われています。
顧客が何を求めているかが重要
この「海外に移動する人へのサポート」としてのサービスレベルは、第一次世界大戦当時においても考えられないくらいの高いレベルでした。
第一次世界大戦が勃発し、ヨーロッパを旅行中のアメリカ人数千人がお金を銀行からおろすことができず帰国できなくなったとき、彼らのトラベラーズチェックを速やかに換金し、帰国便のチケットを手配したのがアメックスだと言われています。
私が、この事例で大事だと思うのは、高いレベルのサービスを提供することではなく、やはり顧客が何を求めているかを考え、それを提供しようとする存在になろうとアメックスはしてきたことです。
それでも、事業分野の定義がそれほど重要でないと考えている経営者は、まだまだたくさんいるのではないかと思っています。この事業分野定義は、未来の利益、会社の存続だけでなく、目先の売り上げと利益を増やすことも実現できる経営戦略の1つだということを改めてお伝えしておきます。
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