今の日本「偉そうな人」にはもはや居場所がない フラットな関係のなかで信頼を得られる人とは

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自分より地位の低い人を笑いものにするのはよくないという話が書かれていますが、これを読んで、風刺とはなにかという話を思い出しました。

2015年に、シャルリー・エブド襲撃事件が起きました。フランスの風刺週刊紙『シャルリー・エブド』がイスラム教の預言者ムハンマドを笑いものにする風刺画を掲載し、イスラム過激派のテロリストが本社に乱入、たくさんの人が亡くなった事件です。

『シャルリー・エブド』は、これは風刺画だから正しいのだと論陣を張りましたが、当時のフランスには、白人のフランス人が強者、イスラム教徒は弱者という位置関係にありました。

テロはいけないことですが、一方で、あの風刺画を新聞に載せたことが、本当によかったのかという議論も起きているのです。

相手との関係性に注意しよう

何かを笑いものにするときは、自分自身であることがいちばんよいのですが、そうでない場合、相手が自分とどういう関係なのかを常に意識しておいたほうがよいと僕は思います。

とは言え、立場が上の人を笑いものにするというのも、相手の耳に入ったときに、笑いで済むかどうかという問題もあります。社内の評判が、LINE経由でたちまち広まってしまうということはよくある話です。

必ずしも社内の人間を笑いものにしてはいけないというわけではありませんが、その関係性には、敏感になる必要があるでしょう。

(後編に続く)

(構成:泉美木蘭)

佐々木 俊尚 作家・ジャーナリスト

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ささき・としなお / Toshinao Sasaki

1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、『月刊アスキー』編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治、経済、社会まで、幅広い分野で発言を続ける。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点で、ミニマリストとしての暮らしを実践。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。

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