ジャニーズ「新会社の社名公募」ただの悪手な理由 ファンを巻き込むことは「諸刃の剣」だ

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(理由2)ネーミングの公募は「モヤモヤ」を残しやすい

そもそも公募のネーミングはもめがちで、だれしもが納得した結果には着地しづらい。読者も、2018年のJR山手線「高輪ゲートウェイ駅」をめぐるイザコザは覚えているだろう。130位、応募36件という「泡沫候補」に白羽の矢が立てられたことで、命名反対のネット署名が行われるほどの非難をあびた。

あれだけの「大炎上」となったのは、ネーミングセンスだけが理由ではない。かならずしも多数決がすべてではないが、「選考プロセスが十分機能していたのか」といった疑念を抱かせたことが、火種を大きくしたと考えている。

命名でゴタついた件を、もうひとつ。愛知県内で2005年、ふたつの町の合併による新市名として「南セントレア市」が発表された。新市名は事前公募が行われていたが、その候補に「南セントレア市」はなく、隣の自治体に同年開港予定だった中部国際空港の愛称「セントレア」にあやかって付けられたものだった。案の定、批判が集中して、最終的には合併計画そのものが、ご破算となってしまった。

これらの例からもわかるように、公募は「納得のいく着地」がセットになっている。順位が可視化されれば、トップクラスの支持を得た候補じゃないと、批判をあびてしまう。一方で順位を隠せば、「都合のいい情報ばかり出す」「やはり隠蔽体質は変わらない」となる。どっちに転んでも地獄のイバラ道で、メリットは少ないと考えられるのだ。

社名を変えたとしてもイメージ転換は難しい

(理由3)もはや『看板掛け替え』ではイメージアップできない

そもそも、社名を変えたり、新会社を設立したとしても、もはや企業としてのイメージ転換は難しいだろう。

これだけ悪印象がついてしまったとはいえ、日本を代表する芸能事務所だ。たとえ社名変更しても、しばらくは「補償会社となった旧ジャニーズ事務所(現○○社)」や「旧ジャニーズ事務所の芸能部門を引き継いだ××社」のように、報道では併記されてしまう可能性が高い。

筆者もネットメディア編集者として、長年ニュース記事などを書いてきた。記事を書くうえで、いつも心掛けていたのは「なじみのない固有名詞には、なるべく補足をつける」こと。ここ最近でも「X(旧ツイッター)」や「旧統一教会」のような表記を見る機会があったはずだ。

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