ジャニーズ「新会社の社名公募」ただの悪手な理由 ファンを巻き込むことは「諸刃の剣」だ
そして、最大のポイントが「ジャニーズ事務所の社名変更」だ。東山氏は前回会見で、改名による「再出発」の可能性にも触れ、現時点では存続させる意向を示しつつ、名称変更の余地もあると話していた。
会見が近づくにつれて、新会社や現在のジャニーズ事務所の社名についての報道が増えている。日本経済新聞などは、新会社の名称について「ファンから公募で決める方向で検討」と伝えた。一方で、現在のジャニーズ事務所については、2日未明にサンケイスポーツから、具体的な「新社名候補」も報じられている。
このコラムを書いているのは、10月2日の会見開始前であり、執筆時点ではこれらの行方はわからない。ただ、もし「新会社の社名の公募」が行われるのであれば、得策だとは思えない。なぜ筆者がそのように感じるのか。それには3つの理由がある。
ファンたちを「共犯者」にしかねない
公募でファンを巻き込むことで、より強固な「絆」が生まれる可能性もある。その一方で、一般層との温度差も広がりかねない。もしも「仲間内でキズをなめ合っているだけ」と思われてしまえば、イメージ向上は遠ざかってしまうだろう。
思いあまったファンの先鋭化を招く可能性もある。実際、性加害問題をめぐっては、体験談を告白した元所属タレントに対して、一部の過激なファンが「被害を捏造したのではないか」などと、SNS上で投げつけるケースも起きている。「私たちが事務所再生を担っている」という自負が、肥大化してしまった末に、コントロールできなくなるリスクは否定できない。
当然そんな人々ばかりではなく、大多数は良識のあるファンだろう。しかし、どこのコミュニティーもそうであるが、目立った存在は、たとえ悪目立ちであっても「界隈のモデルケース」として扱われがちだ。
加えて、甘く見てはいけないのが、ネットユーザーの「こじつけ力」だ。たとえ、意図が込められたネーミングでなくとも、どこかに「ジャニー氏のエッセンス」を感じ取られれば、ここぞとばかりに「なにも変わってないじゃないか」と集中砲火になりかねない。
もし「ファンが旧体制を忖度した」と思わせてしまえば、命名直後にミソが付いてしまう。そして、ここまで見捨てず、事務所の再生を願ってきたファンたちを「共犯者」にしかねない。非常に危ない橋を渡っていると言えるだろう。
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