30代で「妻と死別」した夫が以後選んだ意外な人生 国家公務員の職を捨て、私生活も激変

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前夫は家を出た千晶さんにも暴力的な内容のメールを送り付け、それが証拠の一つとなって離婚が成立。千晶さんとしては不幸中の幸いである。

「その朝活には前からずっと参加したかったんです。いろんな人に会うことで自分を変えたかったから……」

自宅出産の夢を語る誠さんについてはすぐに安心感を覚えたという。ユーモアがあって明るかった祖父に雰囲気が似ていると思った。

「私は両親に育児放棄をされてしまい、3歳の頃から祖父母に育ててもらいました。前の夫と離婚調停をしていた頃に祖父が亡くなり、その1年後には祖母が他界。主人が支えてくれました」

義務教育は「自宅」での予定

千晶さんは誠さんと再婚してすぐに妊娠し、今では3歳と1歳の娘に恵まれている。誠さんの方針で、子どもたちは幼稚園には通わせず、義務教育も自宅でのホームスクールで全うさせる予定だ。

「勤務先まで徒歩10分のところに住んでいますが、それでも9時から18時までは仕事です。子育てに比べれば、お金を稼ぐだけなのは楽ですよね。一日中、娘たちと向き合っている家内には尊敬と感謝しかありません」

そんな誠さんだが、結婚の理想がすべて実現したわけではない。子どもが小さいので当然ともいえるが、「雑過ぎる」性格を自認する千晶さんが完璧に家事をこなすのは難しいようだ。

誠さんは水回りの汚れなどが気になって仕方がない。しかし、それをストレートに言葉にすると千晶さんは落ち込んでしまう。自分も主体的に家事をしつつ、言い方を工夫する日々だ。

「職場の人間関係は上っ面で済みますが、家族はそうはいきません。言い方を変えつつも自分が言いたいことを伝えなければなりません。家内だけでなく、子どもとのコミュニケーションでも日々、学んでいます。言い争うことがあっても、寝るときは笑顔で!が我が家のこだわりです。自己成長が僕の生き方の軸なので、再婚して本当に良かったと思っています」

不器用だけどとにかく真っすぐで前向きな誠さん、そんな彼を全面的に頼りつつも自分の性格までは変えられないと割り切る千晶さん。かなり変わった夫婦だけど、前の結婚で経験した失敗を繰り返さないことだけは確かだと思った。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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