日本の防衛産業は鎖国から開国へシフトする キーマンの防衛省装備政策課長に聞く<下>

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特に、中小企業はM&Aで外国企業に買収されることもあるだろう。また国内企業がどのような形で国外企業に協力しているかということも把握する必要がある。そのような観点からも企業の情報把握が必要だ。昨年から防衛省では国内企業の調査を開始している。作業は急を要すると考えている。対象となる企業にはクリティカルなデュアルユース製品(軍用にも使用できる民生品)を製造しているメーカーも含まれる。

米英仏豪の4カ国とは政府間協定をすでに結んでいる

「実態を調査しながら、ソースの多様化を進めていく必要がある」

――日本では国内企業でも防衛産業に新規参入することが難しいが、そのような国内企業の状況を把握するということは、既存の防衛産業の企業以外にも参入の道を開くことになるのか。

それはありうるだろう。守るべきものは守る必要があるが、シングルソースだと、そこが潰れた場合に供給が止まるし、コストも高くなりがちだ。ソースの複数化は必要だが、実態を調査しながらソースの多様化は図る必要がある。

――海外との防衛装備関連の協力の進み具合は。具体的な話はあるのか。

米英仏豪の4カ国とは政府間協定をすでに結んでいる。その他インドや東南アジアとは装備協力に関する可能性を探っている。その他多くの国々と接触している。

具体的な話に関しては共通の装備を持っている国がやりやすい。たとえばイタリアはF-35やKC-767など共通の装備があるが、欧州にはそのような国が多い。欧州諸国とは先進的な技術面での協力や共通の課題についての協力を、東南アジアなどでは地域内の安全につながるわが国らしい貢献をすることを考えている。

――欧州と具体的な将来の装備開発のプランはあるのか。

すでにフランスとは3回ほど協議を持っているが、UAVやUGVなどの無人システムを中心に話をしている。まずはお互いにどんなことを考えているかということを、情報交換をしている段階だ。現在、わが国で進行中のプロジェクトに関しては、何らかの可能性があれば外国とやってみたいが、それが無理ならば次世代のシステムにおける協力を模索することになる。

このような対話が諸外国とできるようになったことの意義は大きい。たとえばフランスであればタレスとかサフラン、エアバスといった企業がどんなことを考えているかわかるようになってきた。英国とも協議をしているが、世界が何を求めているのか、各国がわが国に対して何を求めているのかがクリアにわかるようになってきた。

――鎖国状態から開国状態になってきたと。

そのとおりだ。唯一問題なのは、外国はすでにわが国に対する情報も多く持っており、情報が非対称な状態にあることだ。わが国は諸外国のことを、まだそれほど知らない。だから外国からは具体的な多くのプロポーザルは持ちかけられるが、こちらからボールを投げることがあまりできない状態だ。現状では対等なパートナーとして組むのは難しい、今後も積極的に外国の情報にアクセスする必要がある。だが、そうはいっても時間を無駄にはできない。有望そうなプロジェクトがあれば積極的に参加して経験を積むことも必要だと考えている。日本の企業にもいい刺激になる。

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