というのも、パラマウントプラスと同様のグローバル展開の競合他社は、すでに日本でシェアを広げている状態です。イギリスの調査会社アンペア・アナリシスによると、日本の動画配信市場で外資系サービスが占める割合は6割以上にもなります。2015年から日本に参入したNetflixとAmazonプライム・ビデオだけで市場の約半分のシェアを獲得しているのです。後発組のパラマウントプラスにとって独自にサービス展開する選択はリスクが大きく、残る市場シェア4割の中からU-NEXTなど日本の事業者とどう組むのかがカギとなっていたはずです。
日本でもオリジナル作品を検討
パラマウントプラスはすでにサービスインしている韓国でも地元メディアとパートナーシップを組んだ展開です。最大手メディア企業のCJ ENMらが出資する大手動画配信サービスTVING内で2022年6月から提供開始し、韓国産オリジナルドラマの製作にも投資し始めています。パートナーのCJ ENMらが製作したシン・ハギュン主演「Yonder」がその第1弾として、2023年4月11日から世界独占配信されたところです。
日本で展開されるパラマウントプラスでもこうしたオリジナル作品がラインナップされていきますが、ゼロから開発したオリジナル新作の数が競合他社に比べて圧倒的に少ないことがパラマウントプラスの弱点として無視できません。本国のアメリカでもシルヴェスター・スタローン主演のクライムドラマ「タルサ・キング」などオリジナル新作が追加されていますが、まだ代表作と言えるものがないのが実情です。
オリジナル数が同じく少ないApple TV+と比べても、ジェニファー・アニストンとリース・ウィザースプーンが主演するApple TV+オリジナル「ザ・モーニングショー」のようにエンターテインメント界最高峰のエミー賞を受賞し続ける作品がまだありません。
世界的な経済不況の影響で、一部のプレーヤーはコンテンツ出資計画に慎重になっている向きがありますが、オリジナル番組は依然として、加入者や視聴時間を増加させる重要な要素です。現にNetflixは各国のオリジナル作品や独占番組の量を増やし続け、パラマウントプラスも2025年に150作の国際オリジナルコンテンツを制作する予定であることを表明しています。
トム・クルーズの作品や往年のヒット作品をもってしても、国産コンテンツに勝るものはありません。パラマウント・グローバルのアジア責任者キャサリン・パークに日本でのローカルオリジナル製作の可能性について尋ねると、断言はしなかったものの、「韓国の事例もあるので、興味は当然あります」と、前向きな回答でした。ドラマ制作機能を持つパートナーのWOWOWを筆頭に、日本でのオリジナル新作の取り組みは今後、十分に考えられるでしょう。
いずれにしろ、遅れてやってきたパラマウントプラスの日本上陸は、WOWOWとJCOMがパラマウントプラスの価値を利用し、加入者にメリットを感じてもらえるのかが勝負どころとなるのは間違いないです。
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