超老舗コングロマリットらしく、パラマウントプラスにあるコンテンツは手を替え品を替え、擦り続けても人気が衰えないものが目立ち、バリエーションも豊富です。たとえば、トム・クルーズ主演の「トップガン」や「ミッション:インポッシブル」シリーズに、ヒット犯罪捜査ドラマの「CSI」もあれば、SFシリーズ「スター・トレック」も並びます。言うなれば、所有するIP(知的財産)をこれでもかと詰め込んだ動画配信サービスというわけです。
なお、パラマウントプラスは当初、CBS All Accessという名で2014年に始まり、2021年に今のサービス名に改名されています。そもそも社名そのものもバイアコムとCBSが2019年に再統合した後、2022年2月に現在のパラマウント・グローバルに変わった経緯があり、“パラマウント”のブランド名を推す超老舗コングロマリットによる動画配信サービスという見方もできます。
JCOMとWOWOWと組む座組
このパラマウントプラスの日本市場参入に本来、競合他社は脅威を感じてもおかしくはないでしょう。消費者からは選択肢が増えることにうれしいやら、悩ましいやらという反応が返ってきそうですが、実際の参入方法をみると、影響力はそれほど大きいものではありません。なぜなら、Netflixやディズニープラスのように独立したサービスとして提供されず、パラマウントプラスが直接的に日本市場で勝負するわけではないからです。
WOWOWが提供中のVODサービス「WOWOWオンデマンド」と、JCOMが10月4日から開始した新たなオプションとしてのVODサービス「J:COM STREAM」の枠組みの中で展開されます。つまり、パラマウントプラスを目玉に、WOWOWとJCOMのそれぞれのサービスが拡充するというものです。
加入者数が250万人を切り始めたWOWOWにとって力を入れ始めている動画配信事業戦略の一環にあり、また約563万世帯にケーブルテレビを含めた家庭内インフラを提供するJCOMにとっても、配信サービスを打ち出していくための切り札としているのは明らかです。
では、なぜこのような座組となったのかというと、パラマウントプラスの日本上陸を発表した会見を主催したJCOM岩木陽一社長は「パラマウント・グローバルとの長年のパートナーシップ関係が実を結んだ」と話し、パラマウント・グローバルのアジア責任者であるキャサリン・パークも同様のコメントを残しています。
当然ながら、双方の利害が一致したというわけでしょう。内情としては、パラマウントプラスはもともと既存の日本のメディアと提携したバンドル形態で提供することを計画し、その相手が最終的にJCOMとWOWOWだったというプロセスが想定されます。
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