「塾を変える?」子どもに合うか見極めるポイント 成績が伸びなくても転塾以外の選択肢はある

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もともと塾の宿題は、個々に合わせたものではなく、「次の模試のためにやってほしい理想量」が提示されます。塾で長時間拘束された子どもはかなり疲れていますし、とくに入塾したての場合、そもそもの勉強の仕方すらわからないことが多く、出された宿題を全教科まんべんなくこなすのは難しいでしょう。

宿題に膨大な時間がかかって他の教科まで手がまわらない、というときには、ぜひ相談を持ちかけましょう。

嫌がる子どもの尻を叩いて無理させるより、まずは担当の先生や教室長に現状を伝え、アドバイスをもらいましょう。そのとき、「先生が忙しそうだから」と遠慮する必要はありません。もちろん、授業中や授業の前後に電話をする、毎日電話をする、長時間電話をするというのは長期的に見てもNGですが、先生にとっても「生徒の課題」を早めに把握できるのは、とても助かることです。

真面目な子どもは、「宿題をやらないと怒られる」という先入観もあるので、ぜひ、みなさんから働きかけてみてください。

また、スムーズにコミュニケーションをとるためにも、先生とは相談しやすい人間関係を作っておきましょう。といっても、送り迎えのときに笑顔で挨拶するなどで十分です。差し入れなども、気にする必要はまったくありません。

先生には、「子どもの成長のためにともにがんばる味方」という感覚で接するといいでしょう。

目標はクラスアップではなく、志望校の合格

最後に、塾のクラス替えについて知っておいてほしいことをお伝えします。

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通常、模試での成績が上がると、より上位のクラスで授業を受けることになります。子どもにとっても、クラスアップは大きなモチベーションになります。

しかし、子どもの基礎が固まっていない場合、クラスアップすることで成績が下がることもあります。上位クラスでは、「これくらいのスピードでみんなついていける」「基本はわかっている」というスタンスで授業が進んでいきます。

志望校が基礎的な問題を中心に出題してくる場合、むしろ上位のクラスではないほうがいいこともあります。これも、子どもが自分で判断することが難しく、本人のプライドが関係することもあるので、保護者が主導で塾とやりとりをしていくのがよいでしょう。あくまで目標は、模試結果の向上やクラスアップではなく、志望校の合格です。

ここまで、塾の上手な選び方・付き合い方についてお伝えしてきました。それぞれの子どもに合った塾を見極め、塾と手を取り合いながら中学受験への道を歩みましょう。

渋田 隆之 国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー

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しぶた たかゆき / Takayuki Shibuta

神奈川大手学習塾で中学受験部門を立ち上げ、責任者として20年携わる。同部門は、オリコン顧客満足度ランキングで、2010年度・2011年度の2年連続で全国1位を獲得。毎年、塾に通う受験生全員と生徒面談を実施。保護者向けにも、ガイダンス、進路面談・カウンセリングを担当し、これまで関わった人数は2万人以上。日々の思いを綴るブログ「中学受験熱血応援談」は年間100万件以上のアクセスを獲得している。2022年7月に中学受験PREXを立ち上げ、現在も継続して中学受験の最前線に立ち続ける。

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