可部線、特異な経緯たどった路線「廃止区間」の今 利用多い一部が鉄道復活、バス路線の現状は?

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宇津・可部線の始発はやはり新興住宅地の上原で、可部駅西側のバスターミナルには全便、8往復(平日)が発着する。8月7日月曜日。4番乗り場で、地区名を取って「飯室行き」と案内されている、9時35分発の安佐営業所行きを待つ。小型バスが現れ、利用の実態を表していた。終点まで、乗客はずっと私1人だった。

広島交通バス宇津・可部線
可部駅前に停車中の広島交通バス宇津・可部線(筆者撮影)

宇津・可部線はあき亀山駅から先、ずっと可部線の跡に沿う。近郊住宅地としての発展が著しい国道191号沿いとは、直線距離でほんの数kmしか離れていないが、大きな差を感じた。そもそも谷間は開発余地に乏しい。バスのルートは時々すれ違い待ちも必要になる悪路で、運転士は慎重にハンドルを操作し、カーブを切り抜けてゆく。

小型バスが走る代替路線

広島自動車道の下をくぐると路線名になっている宇津で、この近くに安芸飯室駅があった。ここから東へ、安佐営業所付近を中心とする飯室の集落に入る。宇津・可部線は10時10分に到着。400円だった。ここで10時30分発の広島電鉄バス三段峡線を待つ。飯室も安佐町を経て広島市へ合併されたところ。歴史ある集落だが、広島北インターチェンジが側にあり、ショッピングセンターも立地する。交通の要衝である。

安佐営業所内の発車案内装置
安佐営業所内の発車案内装置(筆者撮影)
フォーブルの路線バス
アストラムラインの駅との間を結ぶフォーブルの路線バス(筆者撮影)

安佐営業所は広島電鉄の営業所だが、広島交通をはじめ他社のバスも乗り入れて、運行拠点になっている。待合室には各社共通の発車案内があり、遅れ時間も表示されて便利。目立ったのがFORBLE(株式会社フォーブル)と大きく車体に入れた派手なバスだ。

意外な出会いだったが、路線図をみると、やはり丘陵地の大規模住宅地を経由し、アストラムライン(広島高速交通)の駅を結ぶ路線を中心にネットワークを広げている。早朝から運行されていて、利用客に支持される交通手段になっていることがうかがえた。これも広い意味で可部線の代替交通手段か。

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