可部線、特異な経緯たどった路線「廃止区間」の今 利用多い一部が鉄道復活、バス路線の現状は?

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三段峡行きに乗り継ぐと、若者をはじめ10人ほど乗客があった。ただし、このバスは25分ほど遅れてやってきた。広島市内での渋滞に引っかかったのか。国道191号を経由して、所定なら可部駅―安佐営業所間は22分ほどで、宇津・可部線よりずっと早い。飯室西からは、ほぼ可部線跡をたどり、加計、戸河内を経て三段峡へ向かう。まずは加計中央まで乗ってみる。運賃は700円。所定なら11時11分着だ。

広島電鉄バス三段峡線は広島バスセンター―三段峡間に平日、土休日とも一般道経由の74系統が下り6本、上り8本。他に可部駅前―三段峡間の区間運転が下り1本、上り2本ある。

三段峡行きバス
広島バスセンターを発車した三段峡行き(筆者撮影)

そのほか、広島インターチェンジ―戸河内インターチェンジ間で自動車専用道を経由する高速便75系統が、平日、土休日とも下り4本、上り2本走り、リクライニングシート車が充当される、広島県に多い県内高速バスの1つで、古市駅―戸河内インターチェンジバスセンター間は、加計、広島北、久地、沼田と自動車道上のバス停にのみ停車する。74系統が2時間10分ほどかかるのに対し、75系統は約1時間20分で走り抜き、かなり早い。

広島電鉄バスが代替

74系統は、やはり太田川に沿った国道を走る。道は良くなったがカーブが多いことに変わりはない。短距離で乗り降りする人が多く、病院の目の前の停留所からの乗車が見られたりと細かい需要にもバスは応じる。交通系ICカードは、広島地区ではもはや定着しきった感じだ。

もともと列車より並行するバスの運行本数の方が多かった区間である。広島電鉄バスは可部線の三段峡延伸前から広島―三段峡間直通の路線バスを運行しており、廃止直前にはすでに自動車専用道経由便も設定されていた。

太田川と滝山川の合流地点にあるのが、加計の町だ。2004年に戸河内町、筒賀村と合併して安芸太田町となったが、やはり地域の中心地であり、商店などがある程度集まる。駅跡は広場と「太田川交流館かけはし」になったが、広島電鉄のバス停は町中にある。加計中央には廃業した店を転用した待合室があった。

加計中央バス停
加計中央バス停の待合室(筆者撮影)
三段峡交通のバス
安芸太田町のコミュニティバスの1つ、三段峡交通(筆者撮影)

安芸太田町はコミュニティバス、予約制乗合タクシーも走らせており、複数の会社へ委託されている。加計中央―安芸太田町役場(旧戸河内町役場)間など、旧可部線に沿った区間も通る。広島電鉄バスのルートから外れている、旧筒賀駅(旧筒賀村)付近もカバーする。

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