熊本電気鉄道、郊外輸送担う「代替バス」の現在 一部区間廃止後、自社バスで鉄道と連携を強化

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菊池駅舎だった菊池プラザ
元は菊池駅舎だった菊池プラザ。熊本電気鉄道の御代志―菊池間は1986年に廃止になった(筆者撮影)
ローカル鉄道の廃止反対理由として、「鉄道がなくなると町がさびれてしまう」としばしば述べられる。しかし現実には鉄道の乗客が高齢者と高校生だけとなり、利用客数が極端に減少してしまったからこそ廃止論議が起こる。消えた鉄道の沿線地域と、鉄道を代替した公共交通機関は今、どうなっているのか。今回は郊外の一部区間を廃止し、自社のバスで置き換えた熊本電気鉄道を見る。

熊本県の北部は穀倉地帯で、中でも菊池の米は品質の良さで知られる。そのため古くから栄え、中心地の隈府(わいふ)は、1889年の町村制の施行時に早くも隈府町として町制を敷いた。1954年には菊池温泉が湧出し、観光地としても知られるようになっている。

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周辺の村を合併し市制を施行したのは1958年。この時、郡名を取って菊池市となった。2005年には「平成の大合併」に伴い、泗水町、七城町、旭志村と合併して、新たな菊池市が設置されている。現在の人口は約4万5000人だ。

廃止区間代替バスを自社で運行

こうした土地柄で人口も少なくなく、明治の末には早くも熊本との間に鉄道敷設が計画された。現在の熊本電気鉄道の前身である菊池軌道が開業したのが1913年。戦後の1950年には国鉄鹿児島本線と接続する上熊本と北熊本を結ぶ路線が開業した。

しかし利用客の減少により、1986年に御代志―菊池間13.5kmが廃止になり、半分以下の営業距離に短縮されてしまったのである。今の鉄道の運転系統は、線路の正式名称にかかわらず、藤崎宮前―御代志間9.5km(本線と通称)と上熊本―北熊本間3.4km(上熊本線と通称)に分かれる。

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