熊本電気鉄道、郊外輸送担う「代替バス」の現在 一部区間廃止後、自社バスで鉄道と連携を強化
しかし、合志市の区画整理事業のため、2022年10月10日に御代志駅は移転のうえ、駅前広場が拡張整備された。これにより、駅の構造は駅舎を通ってからバスターミナルへ出る一般的なものとなって、ホーム対面でバスと電車を乗り継げる利便性は失われている。
その反面、それまで駅前広場を挟んで反対側にあった菊池方面のバス乗り場は、駅舎に隣接する場所へ移され、こちらは乗り換えが便利になった。
御代志からの菊池方面行きは、菊池温泉行きのC1-3・C3-3系統を中心に、夜間には菊池プラザ止まりのC1-2・C3-2系統もある。平日朝夕は毎時3本程度の運転。日中は30分間隔の鉄道に合わせて、やはり30分間隔、毎時2本の運転を基本としているが、運転間隔が1時間に空く時間帯もある。
反対方向の熊本市内行きもほぼ同様であり、鉄道との接続を基本とする。C1とC3の違いは、熊本市内で堀川を経由する(C1系統)か、熊本機能病院前を経由する(C3系統)かである。御代志―菊池温泉間のルートは同じだ。なお、今は急行バスなどはなく、全便が普通である。
駅跡の交通ターミナルは寂れた姿に
御代志を発車した菊池温泉行きは、国道387号を淡々と走る。お昼下がりの13時52分発に乗ったが、利用客は決して少なくはない。しかし「運び切るには鉄道を必要とする」ほどでもない。バスで十分な輸送需要だから、便利な熊本市内直通の路線バスのほうを残した形である。
駅もあった辻久保には現在、熊本電気鉄道バスの営業所が置かれている。それだけ同社が熊本―菊池間の系統を重視している表れとも言えようか。高江で合志川を渡る手前で旧道に入ると、旧泗水町の中心部。合併前の2000年には約1万4000人ほどの人口があり、鉄道としても主要駅の1つであった。
再び国道387号線に戻ると、ところどころで不釣り合いなほど幅広な歩道が並行する。これが鉄道の跡で、ルートはほぼバスと重なっている。同じ会社でもあるし、流動が減少すれば、バスへ一本化しての合理化が当然、考えられるところだ。
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