東大生も実践「理解力が高い人」に共通する習慣 日頃の習慣で後天的に身に付けることができる

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また、彼らは人から具体例を出してもらって理解するだけでは満足しません。

先ほどのドップラー効果の例でも、理解するだけなら「救急車のサイレンと同じ」でいいのですが、さらに思考を発展させて「じゃあF1カーが通り過ぎるときのエンジン音が変化して聞こえるのも同じことかな?」とか「波の周波数ってことは、音だけじゃなくて光の波長にもあてはまるのかな?」といったことまで考えます。

これが習慣になっているので、自然と思考力が鍛えられているんですね。「一を聞いて十を知る」ではなく、「十まで推測する」と言ったほうが正しいかもしれません。

また、矛盾するようですが、最初はあえて抽象度が高いままで理解するほうがいいこともあります。例えば歴史の勉強をしていると、山ほど覚えることが出てきます。

教科書の最初から順に、人類の祖先の種類だの、石器がどうのと細かいことを覚えていてはキリがありません。そこで、要領のいい人はまず全体像の把握から始めるのです。

「人類が誕生した→文明が生まれた→人口の増加とともに争いが生じるようになった」というように要点だけつかんでおくと、情報量が圧縮されているため覚える負担が少なく、スムーズに頭に入ります。その後で段階的に具体的な知識を加えていくことで、効率的に覚えられるというわけですね。

日常やビジネスシーンでも役に立つ

このように「抽象⇔具体」の間を行き来することは、勉強に役立つだけではありません。日常生活やビジネスシーンでのさまざまな問題解決にも活かせるはずです。

「抽象→具体」であれば、問題の原因と解決策の糸口が見えるでしょうし、「具体→抽象」であれば個別の事例から根本の問題点が見えるきっかけになるでしょう。

頭の回転とは決して生まれつきの才能ではなく、トレーニングによって鍛えられます。難しいことをシンプルに考える意識を、ぜひ生活に取り入れてみてください。

青戸 一之 東大卒講師・ドラゴン桜noteマガジン編集長

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あおと かずゆき

1983年生まれ、鳥取県出身。地元の進学校の高校を卒業後、フリーター生活を経て25歳で塾講師に転身。26歳から塾の教室長としてマネジメント業を行う傍ら、学習指導にも並行して携わる。29歳の時に入塾してきた東大志望の子を不合格にしてしまったことで、自身の学力不足と、大学受験の経験が欠如していることによる影響を痛感し、30歳で東大受験決意。塾講師の仕事をしながら1日3時間の勉強により33歳で合格。在学中も学習指導の仕事に携わり、現在は卒業してキャリア15年目のプロ家庭教師・塾講師を行う傍ら、ドラゴン桜noteマガジンの編集長を務める。

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