80億円超の「億り人」、テスタ氏が勝ち続ける根拠 カリスマ個人投資家が考える引き際の条件
――現在は何をメインに投資しているのですか。
個別株が中心で、投資信託や不動産はほとんど運用していない。株は日本株をメインに、10銘柄から100銘柄の間で運用している。配当狙いで薄く広く売買したり、セクターで売買したりするので、日によって数十銘柄単位で増減することはざらにある。
配当株は20億円分、平均利回り5%で年間1億円の配当金を目安にしている。利回りによって年間5000万~1億5000万円の配当収入がある。
――日ごろの情報源はどう仕入れているのですか。
『会社四季報』(東洋経済新報社)も活用しているが、リアルタイムの情報を仕入れるのは、基本的にX(旧ツイッター)だけ。特定の支持するアカウントはなく、タイムラインに流れる投稿のリンクに飛び、ニュースサイトをチェックする。Xにはフェイクの情報も含まれるが、複数のアカウントが同じソースを貼っていたら、概ねフェイクではないと推定できる。
人づてに情報を入手することはまったくない。経営者などから話を聞くと、インサイダー取引に抵触してしまい、その銘柄を売買できなくなるからだ。
――大きく負けたときなどは、メンタルをどうコントロールしているのですか。
1億円負けた日などはさすがに落ち込むが、そんな日は夕方くらいから早めに寝てしまう。「今より1億円少なかったのはいつだったか」と振り返り、「その日は元気に過ごしていたのだから、結局その日の自分に戻っただけだ」と思うようにしている。大事なのはショックを引きずらず、翌朝9時に場が開くときには、メンタルをフラットに戻しておくことだ。
異分野トップとの交流で価値観に変化
――1日のルーティーンはどのように過ごしていますか。ずっと自宅にいる印象がありますが、普段の交流関係は。
8時40分頃にパソコンの前に座り、15時過ぎまでモニターを見ている。その間は集中しているので、食事は場が終わった後の夕方と夜にとる。ただ、今はデイトレードをあまりしなくなったので、相場が動かないときは目を離して日中にテレビを観ることもある。
8年前に関西から東京に出てきて、テレビや雑誌などの仕事を通じて、異分野の人との交流が増えた。棋士の羽生善治さんやプロゲーマーの梅原大吾さんなど、その分野の超一流の人の話は、勝負の世界でのモチベーションの保ち方や大舞台でのプレッシャーへの対処法など、投資にも通じるものがある。株の話をするより、自分が知らない世界の話を聞くほうが楽しいし、刺激になる。
――最近では寄付活動にも取り組んでいます。
児童養護施設や保護犬・保護猫の活動団体に寄付をしている。格闘技が好きなので、格闘技の主宰団体にもスポンサードしている。
羽生さんから、「人生の残り時間が少なくなっているので、若い頃より今のほうが1日の重みが増している」という話を聞き、私も稼いだ分をすべて自分の資産にするより、資産が減っても寄付に回したいと考えるようになった。
寄付をする以上は、その団体から話を聞いたり活動内容を調べたりするので、そのぶん投資にあてる時間が減り、成績は落ちる。それでも、やりたいことをやるほうがいい。
――年数を経て、投資のスタイルや価値観にも変化が出てきましたか。
若い頃は、終日モニターの前にかじりついて投資やその勉強に没頭していたが、年齢や資産が積み重なるごとに余裕が生まれてきた。人生のフェーズが変わったのかもしれない。自分はたまたま投資が好きで、ここまで資産を築くことができたので、これからは支援を必要としている人への恩返しをしたい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら