松下幸之助は「160歳まで生きる」と宣言した 満80歳のときにつぶやいた言葉

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(写真:kentarou2000 / PIXTA)
昭和の大経営者である松下幸之助。彼の言葉は時代を超えた普遍性と説得力を持っている。しかし今の20~40代の新世代リーダーにとって、「経営の神様」は遠い存在になっているのではないだろうか。松下幸之助が、23年にわたって側近として仕えた江口克彦氏に口伝したリーダーシップの奥義と、そのストーリーを味わって欲しい。(編集部) 

 

松下幸之助が、77歳になったときだから、昭和47年(1972)11月30日だったと思う。生まれたのは、明治27年11月27日。

松下に「喜寿ですね」と言うと、

「まあ、よう生きてきたと思うな。体が弱かったからな。18歳のときかな、肺尖カタルになって、まあ、結核の初期状態や。肺病やな。そのころ肺病は大抵が死ぬんや。商売始めてしばらくして、また具合が悪くなってな。入院しに行ったんや。それまでは、あかんあかんと言われても、カネがないからね、治療なんか受けられへんかった。まあ、商売始めて、多少、そういう余裕もできたからな。そいで病院に行ったんやけど、途中途中で、3べんほど血を吐いてな、そんな大げさなものではないけど、少しずつな。さすがにもう、あかんかいなあ、死ぬんかいなあと思ったな。ともかくその病院には1カ月ほど居たわ」

「106歳まで生きることに決めたんや」

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そうであれば、なおさら、77歳まで生きてきたことに感慨深いものがあるだろうと思って話を聞いていると、「けどな」と言って話を継いだ。

「けどな。今日、106歳まで生きることに決めたんや」と言う。うん? 私の頭のなかで、「106」という数字がぐるぐると回っていた。「で、なぜ、106歳なのですか」と尋ねると、ニヤリと笑って、

「きみ、わしは1894年生まれやろ。だから、106歳まで生きると、19世紀、20世紀、21世紀と、3世紀にわたって生きるということになる。これはなかなか難しい。きみ、何年や、1940年生まれか。無理やなあ。面白いやろ、3世紀にわたって生きるというのは」

と言って、ケタケタと声を出して笑った。

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