肝臓専門医が警鐘「疲れたら甘い物」摂る人の盲点 「脳に騙されない」スイーツの楽しみ方とは?

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一面的にはカロリーゼロで血糖値を上げないというメリットがありますが、腸内環境や代謝を乱す懸念があるため、私の外来では摂取を避けていただいています。ゼロカロリーであっても甘いものを食べ続ければ、結局甘いものへの依存が強まって、さらに脂肪を増やすことになりかねません。

甘いもの欲求を止めるコツ

脳が騙されたまま高カロリーの甘い加工食品を食べ続けないためには、脳の疲れを取って適切に判断できるように整えることが大切です。

甘いものが欲しくなったときは、10分程度でよいので「ホットアイマスク」をつけると、視覚情報が遮断されて脳の疲労回復に役立ちます。血流も改善してリラックスモードに切り替わりやすく、食欲の暴走にストップがかかります。

さらに夜寝る前にも10分間ほどのホットマスクの習慣をつけると、睡眠の質が改善します。深い眠りが得られると脳の回復も早まるので、食欲をコントロールしやすくなります。

また、甘いものを食べたいときには、とにかく「水を1杯飲む」のも有効です。血中のナトリウム濃度が下がることで飢餓状態でなくなったと脳が判断し、食欲が抑えられます。

そうはいっても疲れて甘いものが欲しくなったときに、いつも「ダイエット中だから食べてはいけない」とガマンを続けると、ストレス食いによるリバウンドの原因になりかねません。そこで、上手に間食をとることで食欲の暴走を食い止める「ちょこっと食べ」におすすめの間食をご紹介しましょう。

食欲の暴走を抑えるおすすめ間食(出所:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』)

◉パック入りむき甘栗

甘いものを口にしたいときは、むき甘栗を3〜5個食べてもよいでしょう。糖質量は高いですが、食物繊維も多く、血糖値の上昇はゆるやかです。

◉ミックスナッツ

良質な脂質をとることができ、ビタミンEやマグネシウムなどの栄養素を補給できます。ただし、高カロリーなので量は片手にのる程度(約25g)を目安に。

◉ゆで卵

筋肉量が少ない方にとくにおすすめの手軽な高タンパク食品。腹持ちもよく、栄養価も高い優秀な間食です。

◉カフェオレ(無糖)

コーヒーや紅茶に少量の牛乳を加えて飲むのもいいでしょう。ただ、勘違いしないでほしいのは、飲料としては水、お茶、コーヒー限定です。牛乳自体は、タンパク質や脂肪だけでなく、乳糖という糖類を含み、1杯(200㎖)で130㎉もある高カロリー飲料です。

甘いものが好きな人に、「今日から一切甘いものをやめてください」というつもりはありません。ただ、欲求のままに食べる習慣が続くと、気づいたときには肝臓には大きなダメージになっていることがあります。

「雨だれ石を穿つ」という言葉がありますが、転用するなら「甘だれ肝を穿つ」ということ。好きなものだからこそ、ゼロにするのではなく、長く食べられることが理想ですね。

そのためにも、甘いもの「量」「質」「頻度」を見直していきましょう。「甘いものはやめられない」と思い込まず、少しずつ減らしながら依存度を下げていくこと。そして、楽しむときには思う存分楽しむというメリハリをつけていきましょう。

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