岸田改造内閣の「目玉組織」が残念なこれだけの訳 霞が関から不満噴出の「デジタル行財政改革」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

さらに、地方自治体のDXについては、これまでデジタル田園都市事務局が司令塔の役割を担ってきた。同事務局は、第2次安倍政権の看板政策であった地方創生を実行する「まち・ひと・しごと創生本部事務局」が前身で、岸田政権発足時に名前を変えた。

しかも、デジタル田園都市事務局にはすでに人材がそろっている。事務局長(次官級)の吉川浩民氏(1988年自治省)は7月の定期人事異動までは総務省自治行政局長を務め、自治体DXの推進やマイナンバーカード普及に当たってきた。デジタル行財政改革を担う力量は十分ある。

組織の重複とともに、問題となっているのが、自治体DX担当部署の分断だ。

デジタル田園都市事務局が制度設計した自治体のデジタル実装の予算は、内閣府の地方創生推進事務局が決定する。また、「DXによる地方振興」という、時には共通・重複するテーマを扱うため、デジタル田園都市事務局と地方創生事務局は一体となって政策を運営している。両局の担当大臣は岡田直樹氏が務めていた。

河野・自見大臣で事務が分断

しかし、今回の内閣改造でデジタル田園都市事務局は河野デジタル相、地方創生事務局は自見地方創生相の所管に分かれてしまった。河野氏の下で、デジタル田園都市とデジタル行財政改革の事務重複を整理するためとみられる。

ただ、これでは、デジタル田園都市事務局と地方創生の両事務局の連携は難しく、地方自治体も予算の要望活動や政策の問い合わせをどちらの大臣にすればいいのかわからなくなってしまう。

実は、第2次岸田内閣発足当初、担当大臣は、地方創生が野田聖子氏、デジタル田園都市が若宮健嗣氏であることから、自治体はもちろん、身内の霞が関官僚からも「すみ分けがわからない」との批判があった。2022年8月の内閣改造で両事務局の大臣を岡田氏に一本化して、関係者は安堵していたところだった。

河野担当相は会見で「(行財政改革について)約1700の市区町村の首長と順次オンラインで対話したい」と意気込んだ。しかし、自治体側にすれば、自見地方創生相にも重複して説明をするのは避けたいところだろう。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事