岸田改造内閣の「目玉組織」が残念なこれだけの訳 霞が関から不満噴出の「デジタル行財政改革」

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調整の結果、内閣官房デジタル行財政改革準備室に50人が集められた。50人というと大所帯に聞こえるが、出身省庁のポストからは動かずに、併任するケースも一定程度いるとみられる。内閣官房には、首相の肝煎り案件、あるいは、地球温暖化対策や新型コロナウイルスといった重要政策に省庁横断で当たるため、対策室が作られることがある。今回もこのパターンで人が集められた。

デジタル行財政改革担当相は河野太郎デジタル相が務めるが、後述するように、自見英子地方創生相との間で業務がいびつに分断される結果となった。

準備室の事務方トップである室長(次官級)は、今夏まで国税庁長官を務めた阪田渉氏(大蔵省1988年)が就く。阪田氏は財務省時代、主計局が長かった。主計局は各省の予算を査定する立場で、「その予算、本当に必要ですか」という問いかけは基本動作だ。今回の行財政改革にその知見が生かされそうだ。

「屋上屋を架す」「組織の重複」といった声も

ナンバー2には総務省から小川康則氏(自治省1991年)が局長級として送り込まれた。小川氏は、直近は自治行政局で審議官級のポストを務め、「行政畑」(選挙、デジタル化、マイナンバーなどの自治体の事務・運営、地方分権政策を指す)が長い。

総務省は審議官級として吉田宏平情報通信政策課長(郵政省1994年)も送り込んだ。吉田氏は7月の定期異動で、デジタル庁出向から総務省に戻ったばかりだった。このほか、デジタル行政の一角を担う経済産業省も課長級を出した。

今回のデジタル行財政改革の部署新設については、「屋上屋を架す」「組織の重複」といった声が霞が関や地方自治体からあがってくる。

岸田政権はすでに、デジタルや行政の改革を進めるための有識者会議「デジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)」を設置済みだ。

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