岸田改造内閣の「目玉組織」が残念なこれだけの訳 霞が関から不満噴出の「デジタル行財政改革」
屋上屋を架したうえに、いびつに分断された組織はどこへ向かうのか。河野担当相は会見で、「デジタル行財政改革という大きなドームを建てたので、下の屋根はいらない。デジ庁にはデジタル臨調会議があるが、上に屋根がかかったら要らないということになる。会議体はさっさと整理したい」と有識者会議や担当部署の統廃合を進める意向を示した。
ただ、予算枠は簡単にやりくりできない。先述の自治体のデジタル実装支援予算の原資は、デジタル田園都市国家構想交付金だ。交付金は安倍政権が創設した「地方創生推進交付金」が前身で、デジタル実装のほか、観光や農林振興、移住促進の支援金も出している。一連の交付金は2016年度の発足以来、毎年度、1600億~1900億円程度(当初、補正合計ベース)を拠出してきた。自治体が総額にこだわっていることから1600億円を下回ったことはなかった。
予算統廃合は前途多難
2022年度は交付金総額1800億円のうち、自治体のデジタル実装には400億円が充てられた。官邸では、このデジタル実装予算を、新部署へ統合する案も検討されているとみられる。しかし、デジタル実装の400億円を別部署に付け替えれば、交付金総額は従来の最低ラインである1600億円を下回る。自治体や、地元対策を気にする国会議員からの反発は必至だ。かといって、自治体デジタル実装の予算を新設するのは本末転倒だ。
河野担当相は組織の統廃合作業に言及したが、こうした作業が発生するのも、デジタル行財政改革準備室を作ったからにほかならない。内閣改造の話題作りとして目に見える新設部署を作るのは常套手段だが、既存組織の活用も行財政改革の立派な選択肢だったはずだ。
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