スターキャンプで痛感「三菱らしさ」維持の難度 変わらぬ業界図式と電動化の中で何をすべきか

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自動車産業界では、2010年代半ばから「CASE」という技術とサービス領域をきっかけとした大変革が始まっている。

改めて説明すると、CASEとは、Connected(コネクテッド)、Automated(自動運転)、Shared & Services(シェアリング・サービス)、Electric(電動化)の頭文字をとった言葉だ。

そして、CASEの影響を大きく受けているのが、三菱のような中堅メーカーである。

その事業規模から、CASEに対応するには初期投資の負担が大きいため、大手メーカーとの事業連携が必然となる。三菱の場合、ルノー・日産とのアライアンスにおいて、リーダー/フォロワーという関係を構築しているところだ。

「デリカミニ」の化身「デリ丸」と、ハロウィーンの仲間たち。アウトランダーPHEV車内にて(筆者撮影)
「デリカミニ」の化身「デリ丸。」と、ハロウィーンの仲間たち。アウトランダーPHEV車内にて(筆者撮影)

同じく、中堅の日系メーカーでは、スバルとマツダがある。この2社は、トヨタとBEV(電気自動車)を軸足として連携を強化すると同時に、両社とも自社独自開発の道を並存させていく腹づもりだ。

こうした中で、中堅メーカー各社が直面している課題が「らしさ」である。

電動化や大手メーカーとの連携の中で、「三菱らしさ」「スバルらしさ」「マツダらしさ」のあるべき姿について、経営陣、社員、労働組合、そして販売会社などが暗中模索している。

こうした「らしさ」を探すためには、前述の製販分離が大きな壁になりかねない。だからこそ、スターキャンプのような「人が触れ合う場」の重要性が高まっているのだと思う。

国内ラインナップが充実するこれから

三菱においては、2010年代の事業立て直し期を超え、ルノー・日産・三菱アライアンスをフル活用したモデルが続々と登場している。

キャラクター「デリ丸。」効果もあり、デリカミニは200万円台が主体となる価格設定でも販売は好調だ。

今回、実車がお披露目されたコールマンとのコラボ限定仕様は、ボディラッピングなどを施すと300万円を超えることになるが、東京オートサロン2023でのコンセプトモデル公開後に、全国の三菱販売会社やユーザーから量産を熱望する声が上がったという。

コールマンのブース、その後方にデリカミニ×コールマンのコラボラッピングカー(筆者撮影)
コールマンのブース、その後方にデリカミニ×コールマンのコラボラッピングカー(筆者撮影)

また今回、筆者はアウトランダーPHEVを乗って・使ってみて、「i-MiEV」から培ってきた三菱独自の電動化技術と日産との車体共有化により、走りのクオリティが高まっていることを改めて認識した。

新型車のトピックとしては、ピックアップトラックの「トライトン」が12年ぶりに日本市場に復活することも話題だ。このトライトンは、2024年初頭に発売される予定だという。

国内でのモデルラインアップが充実していく中、三菱は今こそ「未来に向けた攻めのブランド戦略」に打って出るべき時期なのではないだろうか。スターキャンプの現場で、多くの三菱関係者と言葉を交わしながら、そう感じた。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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