「未承認国家ソマリランド」潜入で見た超怖い現実 敏腕TVマンが「危険レベル4」入国を強行したら

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街を歩くと、至る所に日本の中古車を見かける。俺の見立てだと9割近くが日本の車だ。

アディスアベバで名刺を頂いたソマリランド大使の話だと、そのほとんどがドバイから輸入されているものらしい。日産の車が人気があるのか、NISSANと後方に自作ペイントで強調した車が多かった。

他にも「学校法人せいしんようちえん」「慶事・仏事の懐石料理、割烹・森恒」「鯉料理のよしむ」「シンドバット座間」などサブカル雑誌のシュールな看板企画で取り上げられそうな文字が残った古い車がアフリカの独立国家にある。

まさに時空を超えタイムスリップしてきた車のようだ。派手なデコトラをさらに派手にペンキで塗った大型トラックもあった。

ソマリランドの首都ハルゲイサで乗られる日本の中古車(写真:著者提供)

外国人は常に監視されている

ホテルに戻り、ツイッターで今日あったことをつぶやいた。

すると、すぐにDMが入った。中身を見てみると、空港から街まで送ってくれたビジネスマンからだ。ワッツアップに登録した名前で検索したとのこと。

「ごっつ、今のツイート消したほうが良い政府とか街の人が、君のツイートをチェックしてるよ」

『花嫁を探しに、世界一周の旅に出た(わたしの旅ブックス)』(産業編集センター)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ソマリランドでは政府が国民に言論統制を敷いているという記事を思い出した。

心配してかわからないが、一度しか会ってない親切なビジネスマンも俺のSNSをチェックしている。

さらに、ソマリアにいるイスラム過激派組織のアル・シャバブは、外国人がどこにいるかなど入国者の動きを監視している可能性もある。俺は慌ててツイートを削除した。

「政治の事とか、この国にとってネガティブな内容はあまりアップしないほうが良い。そのほうが安全だ」

彼はそう付け加えた。

改めて、ひとりで危険レベル4の国にいるという事実を再確認させられた。そして、身を引き締め直した。

(著者が旅をしたのは2018年8月で、現在の情勢とは違っている部分が多くあります。過去30年間平和を保っていたソマリランドは、2023年2月に軍と地元武装勢力が衝突し、現在も戦闘状態が続いています。くれぐれも渡航はおやめください)

後藤 隆一郎 作家・TVディレクター

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ごとう りゅういちろう / Ryuichiro Goto

1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーとなり「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「(株)イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「Google政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。

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