子どもが学童を「拒否」小学生の親の両立を阻む壁 短時間勤務制度を選択できなくなる企業も多い

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放課後NPOアフタースクールの調査によると、子どもの入学にあたって働く女性の過半数が働き方の見直しを検討したという。さらに、実際に働き方を変えた人のうち約4割が、正社員から別の雇用形態、もしくは時短勤務に変更している。

(図表)放課後NPOアフタースクール

小1の壁により働き方を見直す人材が多いなか、優秀な人材を確保するために企業はどのような対応が必要なのだろうか。平岩氏は、「短時間勤務制の延長が必須です。加えて、在宅勤務制度やフレックス制度など、柔軟な働き方を可能にする必要があります」と、男女問わず希望する人が取得できるようさまざまな選択肢を用意することが重要だと話す。

現在、子どもの入学までに短時間勤務制度を選択できなくなる企業は、「全体の7割程度」(平岩氏)という。

「『子どもが小学生になったら、もう手が離れるだろう』と考えている50代前後の管理職もいるが、実際は小学生以降も大変さは続く。とくに入学後の3年間は企業が徹底的に支えてあげないと、勤務継続は難しいと考えたほうが良い」(平岩氏)

かつては、「小学生になったら、子どもだけで遊んでもいい」という社会の価値観だったが、平成に入った頃から小学生の放課後を狙った事件や事故が目立つようになった。その結果、現代は「放課後は危険」という価値観に変化している。

「今は小学生になっても、子どもの安全は保護者が確保しなければならない。小学生になったからといって手が離れるわけではない時代だ。ぜひ管理職の方々には意識をアップデートいただいて、従業員が働く環境を整備いただきたい」(平岩氏)

子どもの話を聞き週1日は自由な日を

今回取材した保護者からは、「一緒に過ごす時間が少なく、子どもに申し訳ない」との声も多く聞かれた。学童から帰宅して寝るまでの限られた時間で、保護者が子どもにしてあげられることは何だろうか。

「寝る前やお風呂の時間のたった5分でいいので、手を止めて子どもの話を聞いてあげてください。そうすればきっと子どもの安心感につながります」

また、「何も予定のない日を作るとよい」(平岩氏)と話す。最近は毎日習い事や学童で予定が埋まっている子どもが多い。しかし、大人でも週7日仕事や予定が決められていたら、息が詰まってしまう。「週1日でいいので、自由に好きなことができる日を作ると、子どもの心身が休まります」。

大人も仕事や家事、育児と日々忙しい。しかし、国も企業も、そして保護者も、限られた時間で子どもたちの声を聞き、彼らのためにいま何ができるか考えることが、よりよい未来を創ることにつながるのではないだろうか。

笠井 ゆかり フリーライター

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かさい ゆかり / Yukari Kasai

1986年生まれ。大阪府出身。神戸大学法学部法律学科卒業。2009年、NHKに入局し、地方局で司法・警察取材を担当。生命保険会社への転職後は、代理店営業やコンプライアンス部門のリスク管理業務に従事。結婚を機にWEB関連会社のライターとなり、2020年からフリーライターとして独立。1児の母。Twitter:@nyagaWEB1

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