ついに始まった米国「トヨタ信者」のトヨタ離れ EVに買い替えたいのに、その選択肢がない!
トヨタの経営上の意思決定は経済と地球環境に幅広い影響を及ぼしうる。トヨタはバッテリーと電気モーターによりガソリンエンジンの性能を拡張するハイブリッド車に先鞭をつけたことで、定評あるほかのどの自動車メーカーよりも燃費や排出ガス削減の改善に貢献したと言ってもいいだろう。だが、ハイブリッド車に依存しすぎるあまり、排ガスを出さない車種への移行で後れを取っている。
これにより、テスラや中国の自動車メーカーBYDに、魅力的で手軽な価格のEVを展開することでトヨタの牙城を切り崩す余地を与えることになった。トヨタはアメリカ市場でシェアを失い、中国でも販売を落としている。
自動車生産の「師範」が「弟子」に転落
燃料価格が高騰した1970年代、アメリカ人はガソリンがぶ飲みのアメ車から燃費のよい日本車に買い替えるようになり、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、クライスラーの支配力が揺らいだ。
トヨタ生産方式は生産効率と同義語となり、多くの工場が「トヨタウェイ」や「トヨタ式」として知られるようになった手法を取り入れた。
しかし今では、トヨタのほうがライバルに学ぶ立場となっている。トヨタはテスラの技術を採用し、中国では電気モーターやバッテリーの技術を吸収する狙いでBYDと提携した。
「戦いのステージは変わった」。伊藤忠総研の上席主任研究員、深尾三四郎は「日本の自動車業界は中でも、対応が極めて遅い」と言う。
新型コロナ禍の中で世界の自動車市場は、大手自動車メーカーを慌てさせる、ある節目を迎えた。市場調査コンサルティング会社アイディーテックエックスによると、EV車の販売台数は2022年に770万台へと70%近く増加、中国で急増する需要を背景に初めてハイブリッド車の販売を抜いた。