多様性を生かすための制度をどう構築するかが問われる--谷本寛治・一橋大学大学院商学研究科教授《第4回ダイバーシティ経営大賞・審査委員長総評》

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 もう1つは、グローバル経営ということが長らく言われ、人事の現地化も進んできていますが、同時に日本での人事のグローバル化ということが果たしてどこまで進んでいるのだろうか、意識の面で遅れているのではないか、という気がしています。これは企業だけではありません。昨年、ヨーロッパの大学で教える機会があったのですが、日本の人口の半分である韓国からの留学生のプレゼンスが目立ちました。日本の学生は残念ながらあまり目立ちませんでした。実際に中国、韓国の留学生数は大きく伸び、一方、日本から海外への留学生は減少しています。日本人が国内に縮こまっていないでしょうか。

本来、グローバル化の中で、多様な発想や勉強をするべきなのですが、学生も目先の就職活動に走ってしまいがちです。長いビジョンを持って、自分のキャリアをどう育てていこうかという発想がなかなか出てきません。また、企業側も、実際に多様な人材を採用しているのだろうか、さらにまた多様な人材を採用しても、組織の中で同質化の圧力が働いていないでしょうか。

会社が1つのアイデンティティやカルチャーを持ち、1つのコミュニティをつくって一丸となって行動するというのが、日本企業の強さでもありました。しかし、同時にそれが強過ぎて同質化が進み、多様化や多様性という強みが出てこない組織になってしまってはいないでしょうか。ダイバーシティ経営への制度化が進む中で、その制度を実際に活かすためのさまざまな補完的な制度やシステムというものをどのように構築するか、問われているのだと思います。
(撮影:今井康一)

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