安倍派の新体制、分裂回避優先の「その場しのぎ」 "下村外し"主導で、「森派への先祖帰り」も

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その一方で、同派会長代理として安倍氏死去後の派閥運営に関わってきた下村氏は、会長代理だけでなく、常任幹事会のメンバーからも外れた。同氏は会合後記者団に、自身の処遇に関する森氏の影響について「私の立場ではわからない。(塩谷)新座長に聞いてほしい」とあえて言及を避けた。

併せて下村氏は、将来の自民党総裁選への挑戦について「政治家なので、この国の政治への責任をより持つ立場にはなりたいという思いはある」としながらも、「今はしっかり、まず清和研の仲間を支えていくということだ。縁の下の力持ちとして貢献したい」と語った。

ただ同氏も周辺には、派中枢から「排除」されたことへの強い不満も漏らしているとされる。このため、「『5人衆』の相互対立も含め、今後の派の運営の波乱要因になる」(派若手)のは避けられそうもない。

新体制で派を代表する座長となった塩谷氏は、静岡新聞の取材に対し「新しい会長をつくっていくのが役割」と自らが主導する形での後継会長選びに意欲を表明。その一方で、自身が会長とその先の総理・総裁を目指すことについても「なきにしもあらずだ」と含みを持たせた。

5人衆と森氏の「主導」を牽制―塩谷座長

さらに後継会長選出については「もう少し時間がかかる」とし、それぞれが有力候補の5人衆については「彼らが力を発揮してもらわなければ困るが、『5人組』という名称を付け、自分たちで言うのは非常に問題がある。(派内での)反発が生まれる」とくぎを刺した。

また、下村氏を常任幹事会から外した理由について塩谷氏は、「派内での調整と森氏の意向が結果的に同じだった」としながらも、「『森さんの影響』とされてしまうから、あまり(森氏に)発言してもらいたくないとの思いはある」と森氏の言動にも注文を付けた。

併せて塩谷氏は「派閥として岸田政権を支える」との方針を明言、目前に迫る党役員・内閣改造人事への派の要望も「(首相に)伝えてある」と派の代表者としての立場もアピールした。

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