安倍氏を死後「神格化」自民劣化という悲惨な実態 岸田首相、「遺言の呪縛」意識も"分裂"に期待?

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安倍氏の一周忌法要(写真:時事)

故安倍晋三元首相の非業の死から7月8日で丸1年。「命日」に営まれた一周忌法要には、妻昭恵さんら親族と岸田文雄首相ら多数の政界要人らが参列、故人を偲んだ。

「事実上の自民党最高実力者」(閣僚経験者)とされていた安倍氏が、参院選の街頭演説中に銃撃されて死去したことの政界への衝撃は大きく、特に自民党内では安倍氏の「神格化」が顕在化。このため、生前の安倍氏の言動や主義・主張が「遺言」として、岸田首相の政局運営にも大きな影響を与える状況が続いている。

そうした中、「党内リベラルの牙城とされる宏池会(岸田派)のリーダーなのに、安倍政治の後継者を自称」(自民長老)している岸田首相の政局運営には、安倍派を中心とする党内保守派への配慮やすり寄りが際立つ。このため、党内では「岸田晋三」などと揶揄する声も出る。

その一方で、主を失った巨大派閥・安倍派の後継選びは難航しており、岸田首相が秋口にも実施する見通しの、党役員・内閣改造人事の不透明化にもつながっている。これも踏まえ「安倍氏の『遺言』という呪縛が思考停止を招き、政権党としての自民を劣化させている」(同)との厳しい見方も広がる。

岸田首相が悩むときに思い出す安倍氏の言葉

「命日」の7月8日午前には、東京・芝公園の増上寺で一周忌法要が営まれた。法要には岸田首相や各閣僚、首相経験者の森喜朗、小泉純一郎、菅義偉・元首相に自民党の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長ら党最高幹部、さらには山口那津男・公明党代表、泉健太・立憲民主党代表ら野党幹部も出席、それぞれの立場から故人を偲んだ。

また、法要後には増上寺近くのホテルで食事会「直会(なおらい)」が催された。その席で、岸田首相は「(首相になった時)安倍総理は『あなたは信じる道を真っ直ぐに進めばいい』といってくれた。1人悩むときいつもこの言葉を思い出し、背中を押してもらえる」と神妙な表情であいさつした。

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