静岡リニア「財務諸表読めない知事」JR東海を糾弾 首相への意見書に記した長期債務残高に誤り

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岸田総理への意見書をすべて読み上げる川勝知事(静岡県庁 、筆者撮影)

静岡県の川勝平太知事は簡単な財務諸表も読みこなせないようだ。それによって、2023年1月24日に送った岸田文雄総理大臣宛のリニア問題の意見書の中で、風評被害を引き起こし、JR東海の経営を危機に陥れかねない重大な誤りを犯した。JR東海への謝罪が必要となるだろう。

現在の長期債務は6兆円ではない

川勝知事はこの意見書の中で、『現在のJR東海の長期債務残高は健全経営の限度「5兆円以内」を優に超えている』という事実誤認をした。これまでの会見では、JR東海の長期債務残高を「現在6兆円」と何度も述べていた。

実際は、2022年度第2四半期(2022年9月末)時点におけるJR東海の長期債務残高は「4.94兆円」。そのうち、「3兆円」は元本返済30年猶予、超低金利の財政投融資の債務である。残りは社債、長期借入金などでその額は1.94兆円である。最新の2022年度第3四半期(2022年12月末)時点でも4.95兆円だ。

川勝知事の意見書はJR東海の現在の経営状況が危機的であると周囲に思わせるものであるが、それを総理宛に送っただけでなく、すぐに、そのまま静岡県ホームページに公開してしまった。

これで川勝知事はまさにJR東海へ「風評被害」を引き起こす“風評加害者”となったのだ。

1月24日の知事会見は異様に見えた。

「内閣総理大臣岸田文雄様」の宛書のあるA4判4ページにもわたる「東海道新幹線の需要動向(静岡県へのメリット)調査について」の意見書を記者たちの前で、川勝知事は誇らしげに一言一句すべて読み上げたのだ。

今回の意見書は、2023年1月18日記事(静岡リニア「人を呪わば穴二つ」川勝知事の慢心)で伝えた通り、岸田首相の「夏までにリニア開業後の東海道新幹線の停車頻度増加をシミュレーションさせる」という発言を逆手に取り、2027年品川―名古屋間を開業した場合、ひかり号、こだま号の大増発はムリだから、静岡県にメリットはないことを県民にわかるように説明するよう求める趣旨のものだった。

それだけでなく、2027年開業を困難にしているのが、静岡工区の未着工ではなく、他の懸念する6事案があることを指摘、それらを解決するJR東海の方策について岸田総理の回答を求めている。

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