ひきこもりをやめ婚活にかけた30代男性のその後 「恋愛経験ゼロ」だった彼が「見合い」を続けた訳

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こうして、よういちの婚活がスタートした。

筆者は、結婚相談所が登録できる複数の協会に属しているので、まずは2つの協会によういちを登録した。よういちはやる気満々で、1カ月に申し込みがかけられる上限の数いっぱいに申し込みをかけた。また、来た申し込みは、断らずにすべてを受諾した。

あっという間に10組のお見合いが組めた。驚いたことに、お見合いをしてお断りをされたのは2件で、あとはすべて交際希望が来た。交際に入ってからは、相手から断られたり、よういちが断ったりしたのだが、今は2人との交際が続いている。そのうちの1人とは、真剣交際に進みそうな勢いだ。

活動を始めてから3カ月経ったよういちと、先日面談をしたら、こんなことを言っていた。

「やっぱり行動を起こすって、大事ですね。入会面談のときに話した失恋って、野球で例えるなら、草野球もしたことがない男が、いきなり大リーガーに試合を挑んだようなもの(笑)。やっぱりバッターボックスに立って、球を打つ。女性と2人きりでご飯を食べたりデートをしたりする経験をしていくことが大事なんだと、今は実感しています」

ひきこもりを断ち切るために地方から上京し就職を決め、環境を変えた。恋愛したことがなかった自分を婚活ができる環境の中に入れ、1対1でどんどん女性に会っていくようにした。“自分を変えたい”という気持ちが、よういちの人生を好転させている。

「引きこもっていた8年間。あの暗黒の時間には、もう戻りたくないんです。今は、失敗してもいいから行動を起こすことが大事なんだと思っています」

経験がなかったからこそ、行動を起こせばそこからの学びも多いし、吸収も早い。よういちは、おそらく近々成婚していくのではないかと筆者は思っている。

夫とは死別、婚活を始めた女性

みなこ(52歳、仮名)は、23歳のときに1度目の結婚をし、27年間の結婚生活を送っていたのだが、50歳のときに夫が不慮の事故に遭い、他界した。娘と息子がいるのだが、2人ともすでに社会人になり独立している。

「子どもたちは、いつか結婚して自分の家庭を持つ。そのときに一人ぼっちになるのは寂しいので、婚活して再婚しようと思っています」

入会面談のときに、こんなことを言っていた。そして、結婚するときの条件をたった1つだけ挙げた。

「威張ったり、怒ったりしない人がいいです。死んだ夫は自分の思い通りにならないことがあると、すぐに怒鳴る人でした。家の中では自分が1番で、私も子どもも彼に従っていないと、機嫌が悪くなる。ひどいときは、物に当たって部屋をメチャメチャにする。私や子どもたちは、ずっと夫の顔色を見ながら生活してきました」

結婚しているときは、帰宅が遅くなる友人たちの食事会には参加できなかった。女同士の旅行も禁止。外泊は里帰りのみで、多くても2泊3日。昼間出かけても、夕食を作る時間までには帰る。それを友人に話すと、みんなが口を揃えて、「よく我慢しているわね」「そんな生活は窮屈じゃない?」と言った。

「ただ私は、お嬢様学校といわれている女子大を卒業して、社会にも出ないまま結婚をしてしまったので、自分が置かれている環境を27年間は普通だと思っていました。今になってみると、“ずいぶん自由のない暮らしをしていたんだな”というのがわかるんですが」

さらに続けた。

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