「5浪文系が理系の院に」無気力だった彼の変貌 1浪で入った大学に慣れず休学、その後の彼は?

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そこから1年が経過した後、彼は4浪の年になって一度関西大学に復学しますが、やはりダメだと考えて退学を決断します。

しかし、この決断は決して悲観的なものではなく、1年間のアルバイト期間を経験したからこその、彼なりの前向きな理由がありました。

「たくさんやったアルバイトの1つに、中学受験のときにお世話になった学習塾での仕事もありました。そこで勉強を教えるうちに、改めて世の中で使われている数学の面白さに気づいたんです。

経済学で言う計量経済学、ゲーム理論に興味を持ったのでそういう本を読んでみたのですが、ここで初めて、自分はこういう勉強がしたかったんだなと思えました。自分の興味についてじっくり考えられる期間があったからこそ、自分で考えて勉強をする楽しさに気づけたので、本当に興味のある勉強を大学でしたいと思えました

23歳で再び受験勉強を始める

「今なら勉強に前向きに取り組めそうだ」と思った彼は、関西大学の退学を決めた後、5浪目に突入する直前の23歳の3月に受験勉強をもう一度スタートさせます。

「両親に『本気で勉強がしたいから、もう1回だけチャンスがほしい、受験させてほしい』と覚悟を決めて頼み込みました。どちらかと言うと、『大学で何を学ぶかが大事だ』と思っていたのですが、学びを深めるならレベルが高いところに行きたいと思い、とりあえず志望校を京都大学・大阪大学・神戸大学に設定し、最終的に大阪市立大学か大阪府立大学に入れればいいなと思っていました。

とにかく自分は英語ができないと思ったので、中1の英語の参考書からやり直しました。今まで自分がやってきた勉強は丸暗記のみでしたが、受験勉強は暗記だけじゃダメなんだなと思い、問題の意味を考えながら勉強するようになったんです。中1・中2・中3の問題集を3冊、3月の間に初めから最後まで1問も間違えないように、ほかの選択肢がなぜダメなのかも全部答えられるようになるまでやりました」

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