「5浪文系が理系の院に」無気力だった彼の変貌 1浪で入った大学に慣れず休学、その後の彼は?

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「数学は好きだったので、そこだけはほかの科目よりも勉強していた」と語るなかたにこさんは、この年のセンター試験では62%と、前年よりやや成績を上げました。兵庫県立大学と関西大学に合格し、「有名な大学で、キャンパスライフが楽しめそうだったから」という理由で関西大学の法学部に進学しました。

「法学部を受験したのは、関大の前身が法律学校だったから、なんとなくです。ようやく行き先が決まったという感じでほっとしました」

しかし、この「なんとなく」の選択が後々の彼の人生に響くことになります。

適応障害で学校に行かなくなる

1浪で関西大学に進学したなかたにこさん。しかし、大学生活は決して彼が入学前に思い描いていた楽しいものではありませんでした。

彼は半年は大学に通ったものの、次の半年は家に引きこもってしまいました。その主な原因は、授業内容や人間関係だったと言います。

「勉強内容に興味が持てませんでしたし、周囲と積極的に会話しなかったので友達もできず、全部がうまくいきませんでした。そこで(受験生活)2年目をやろうと思ったんですが、そういう選択をする人が自分の周りにいなかったので、いろいろ考えているうちに、適応障害になってしまいました」

優秀な周囲の人たちと比較して、自分自身は何も頑張れずに葛藤する毎日。なぜそうなってしまったのか。彼が考えたのは、「成功体験がなかったこと」でした。

「僕は受験勉強を頑張って、第一志望校に受かった経験がありません。成功体験がないから自分に自信が持てなくて、大学の勉強を続けることができなかったんです。きっと、部活や受験勉強で真剣に打ち込んで乗り越えてきた人なら、耐えられたと思います」

こうして思い悩む日々を送った彼は、関西大学に籍を残したまま3浪の年齢になっていました。とりあえず、自分の将来のことを一切考えないようにしようと思った彼は、自分をフリーターだと思って、アルバイトをする決断をします。

「後々もう一度大学受験をしたいと思っていたのですが、今はとりあえず、社会復帰のために外に出ようと思ったんです。本屋・バー・イベントスタッフなど、さまざまなアルバイトをしながら、SNSで友達を作ろうとしました。できるだけ外で人と話すことで、コミュニケーション能力のなさを克服しようと思い、あまり勉強のことを考えない生活を送っていました」

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