私たち大人も子どもの頃、友人関係が悪化して気まずくなり、学校に行きたくないと思った経験をした人もいるのではないでしょうか。友人関係をつねに良好に保つということは容易ではありませんが、実際は良い関係、悪い関係も含めて人間関係を学び、やがて大人になっていくため、すべては学びなのですが、子どもの頃にはそれはまだわかりません。子どもにとっては今ここにある現実が重要であり、とにかく今を何とかしたいと考えています。
大人のある“言葉”を子どもたちは嫌悪している
そのような状況の中で、大人がしばしばある対応をしてしまいます。それが問題を引き起こす“きっかけ”になることがあります。その対応とはある“言葉”を子どもに投げかけてしまうことです。
筆者はこれまで3000名近い中学生を指導してきましたが、あるとき100名ほどの中学生に「小学生の頃、先生や親に言われて嫌だったこと」をヒアリングしたことがあります。彼らが挙げた言葉の中で「勉強しなさい!」と同じぐらい嫌悪した言葉がありました。それは何だと思いますか? 意外な次の言葉だったのです。
「みんな、仲良くしましょう!」
理由を聞くと、「気が合わない嫌な子となぜ仲良くしなければならないのか意味がわからない」とのことです。この理由を聞いて、筆者は「確かに」と同意せざるをえませんでした。
もちろん先生や親は、子どもを追い詰める目的はいっさいなく、トラブルを避け平和的な世界が望ましいという意味でこの言葉を使ったのでしょうが、子どもはそのようには受け取っていません。
倉田さんの場合、「『友達にも良いところがあるのだから、皆と仲良くしてみたら』と言ってきた」という部分がもしかしたら、子どものプレッシャーになっていたかもしれません。そこで、言葉を今後、次のように言い換えてみてください。
「仲のいい子とだけ楽しめればいいんじゃない?」
ただし、この言葉は誤解を招きやすいので、もう少し説明しておかなくてはいけません。この言葉の意味は、仲が良くない子を排除するという意味ではありません。あくまでも仲がいい子と楽しめればいいということです。ですから、気が合わない子をいじめたり、無視したりすることはよくありません。そのような場合は適度な距離を置いたり、普通に付き合ったりするだけでよいことを同時に伝えていきます。
筆者の知人である教育分野の研究者から聞いた話では、「男の子は特定の仲が良い友達が1人いれば自分の居場所が確定する。女の子は小グループに入れることで自分の居場所が確定する」とのことです。
倉田さんのお子さんは男子ですから、クラスに1人でも親友または仲がいい友達がいれば、それで安定していく可能性があると思われます。気が合わない子とはそれなりに付き合い、気が合う子と意気投合していけばよいと伝えることで、子どもの中でモヤモヤが解消するかもしれません。ぜひ試してみてください。
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