SDAが設置されたのと同じ2019年には、「OneWeb」およびスターリンクの試験衛星の打ち上げが始まっており、SDAは商業宇宙の世界での新たなコンセプトをタイムリーに取り込み、それを軍事宇宙の世界で活用しようとしていた、と言えよう。
ただし、SDAも商業サービスを単純に利用するのではなく、政府のシステムとして衛星コンステレーションの構築を進めているのは、アメリカ軍独特の要求事項を含め、国家として管理すべき部分があるためと考えられる。
SDAは、2022年10月に、アメリカ軍の宇宙能力の整備全般を担う宇宙軍に統合されたが、統合後も一定の独立性を保ちながら、彼らの計画を進めている。これを受けて、アメリカ宇宙軍の宇宙システムのアーキテクチャーも、伝統的な大型衛星から、SDAの衛星コンステレーションに重点をシフトし始めている。
日本の防衛戦略における活用可能性
このようなアメリカの状況を受けて、日本においても衛星コンステレーションに注目が集まっている。2023年6月に政府で決定された「宇宙安全保障構想」においては、通信や情報収集の分野で衛星コンステレーションを活用することがうたわれた。
これは衛星コンステレーションを含めた宇宙システムの活用が、「より早期かつ遠方で我が国への侵攻を阻止・ 排除できるように防衛力を強化する」という昨年12月に決定された「国家安全保障戦略」の目標を実現するために、不可欠な手段だと認識されているためだと考えられる。
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