防衛費増が招く「増税」「国債」「債務危機」3つの罠 「成長の世界システム」は終焉を迎えつつある

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2023年8月18日、メリーランド州キャンプ・デービッドでの日米韓首脳会談後、共同記者会見に臨んだ岸田首相(写真右)。軍事協力、国際政治、中国や北朝鮮への対抗などに関する問題について「足並みをそろえて」前進することを話し合った(写真:Chip Somodevilla/Getty Images)
現在、日本では5年間で防衛費を現在の2倍まで引き上げることが検討されている。その財源として、増税と国債発行という2つの方法が考えられる。
戦争と財政の世界史:成長の世界システムが終わるとき』を上梓した経済史家の玉木俊明氏が、「戦争」と「財政」によって形成されたともいえる現代社会を世界史の流れから読み解く。

持続的経済成長は続くのか

戦争と財政の世界史: 成長の世界システムが終わるとき
『戦争と財政の世界史: 成長の世界システムが終わるとき』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

この記事のタイトルから、現在の日本の財政政策に対する批判を期待された読者もいらっしゃるかもしれない。だが、ここでの議論は、経済学の前提に対するもっとも根源的な批判となるのではないかと思われる。その批判とは、持続的経済成長とは、単なる「神話」ではないかということなのだ。

私たちは、経済が成長し続けるのは当たり前のことだと考えている。しかしそれは、せいぜいここ数世紀間のことにすぎない。もしかしたら、それはあらゆる社会システムと同じく、いつか消滅するものだと考えられないのだろうか。私が『戦争と財政の世界史: 成長の世界システムが終わるとき』の執筆にあたって、つねに考えていたのはそういうことであった。

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