「あえて失敗せよ」全米トップ大学異例授業の真意 意図的に誰かから拒絶される体験から学べること
エリートほど「戦線恐々」としている
失敗と健全な関係を築くこと、すなわち失敗を変化の障害物ではなく、触媒と見なすことは本講義の中心テーマだ。
この講義で私が学生たちに課す演習の内容は、カリフォルニア大学バークレー校のキャンパスで広く知られるようになっている。
私は「失敗」についての講義の終盤、賢明なリスクテイクに関する研究や、シリコンバレーの失敗を前向きにとらえるカルチャーなどの話をしたのち、たった2単語からなる文をスライドに表示する。
「Go fail (失敗してみよう)」
学生たちはソワソワしながら不思議そうに笑みを浮かべるが、次のスライドが表示されると、その笑顔はすぐにパニックの表情に変わる。私が冗談を言っているのではないと気づくからだ。
そのスライドには、「いますぐ教室を出て、誰かに頼み事をして、拒絶されること。制限時間は15分」と書かれている。つまり、意図的に誰かから拒絶される(積極的に失敗する)ことを体験するのだ。
どんなに馬鹿げた依頼であれ、相手がそれを承諾したらやり直し。相手にきっぱりと断られるまで、キャンパス内にいる誰かに頼み事をしなければならない。
内容はなんでもかまわない。ルールは2つだけ。違法なことや危険なことは頼まないことと、これが講義の一環であると相手に知らせないことだ。
エリートの多いカリフォルニア大学バークレー校の学生たちにとって、意図的に失敗し、拒絶されるのを想像するのはとてつもなく難しい。顔は真っ赤になり、額に汗が浮かぶ。若くして多くを成し遂げてきた優秀な彼らにとって、拒絶されたり失敗したりするのを想像するのはとても怖い。
私は励ましの言葉をかけ、これから15分間でどんなことが起きるか戦々恐々としながら教室を出る学生たちの幸運を祈る。
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