「あえて失敗せよ」全米トップ大学異例授業の真意 意図的に誰かから拒絶される体験から学べること

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演習を終えた学生たちが続々と戻ってくると、教室の雰囲気は一変する。皆、満面の笑みを浮かべるのだ。

出ていくときは重たく引きずるようだった足取りは、高揚し、弾むものになっている。誰もがたった今体験したことを笑いながら熱っぽく語っているので、とても騒がしい。隣の教室の教授から静かにしてほしいと苦情を言われたことがあるほどだ。

学生たちが興奮しているのは、人生を変えるほど重要な教訓を学んだ手応えを感じているからだと聞いたことがある。彼らにとってこの演習は、新しく健全な視点で失敗をとらえるための経験になった。失敗は恐れるものではなく、望む変化を実現するために欠かせない手段だと理解し始めたのだ。

その後、授業の残り時間を使って各自の「拒絶された体験」を振り返り、そこから得た気づきを話し合う。この議論を通じて、必ず浮かび上がる教訓が2つある。

「何も求めない」のが最大の失敗

1つ目は、「人は失敗を恐れるあまり、求めているものがはっきりしているにもかかわらず相手に何も求めないことが多いが、実は何も求めないことこそ本当の失敗である」という教訓だ。学生の4割が、まったく馬鹿げていると思うことを頼んだにもかかわらず、相手に受け入れられた体験をしていた。

ある学生は、雨の日に、傘を持っていた見知らぬ学生に、次の授業がある教室まで傘を差しながら一緒に歩いてくれないかと頼んだ。驚いたことに、相手はそれに同意してくれた。その教室まで往復すれば30分近くもかかるのをわかったうえでだ。

他の学生は近くのカフェに行き、オレンジジュースをタダで飲ませてほしいと頼んだ。なんと、店は要求に応えてくれた。拒絶されるまで教室に戻れないのでさらにもう1杯リクエストすると、店はまたタダでオレンジジュースを出してくれた。最終的に「ノー」と断られるまで、この学生は6杯のジュースを手にして教室に戻ってきた。

キャンパス内のトレーニングジムにいる全員に「ハッピーバースデーの歌」をうたってもらった学生もいた(「今日は自分の誕生日ではない」と伝えたにもかかわらず)。

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