元国税調査官が語る、青色申告より白色が有利の訳 小規模事業者が知るべきメリット・デメリット

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また②の税法の制約が厳しくなることについてだが、これはどういうことかというと、青色申告の場合は、きちんと帳簿をつけているというのが原則なので、ちょっとした誤りでも、不正計算とみなされ、重加算税の対象となりやすくなるのだ。

白色申告ならば、「うっかり忘れていました」という言い訳が可能だが、青色申告の場合は、そういう言い訳ができず、故意に税金を逃れたとして重加算税などをかけられる可能性が高くなる。

このように青色申告はいいことばかりではないのだ。

白色申告の最大のメリット

では次に白色申告のメリット、デメリットをご紹介したい。

白色申告の最大のメリットは、なんといっても記帳や経理の負担がそれほど大きくないということだ。

白色申告にも記帳の義務はあるが、売り上げや経費に関するものだけであり、小遣い帳をつける程度のレベルで可能である。青色申告の複式簿記と比べれば段違いに負担は小さい。また電子帳簿作成などの義務もない。

これは事業を始めたばかりの人や小規模事業者にとっては非常に利点だ。小規模事業者にとって、記帳や税金の計算にまではなかなか手が回らないからだ。

白色申告のデメリットは、赤字の繰り越しができないこと、家族への給料支払いが限られていること、である。白色申告でも、家族従業員への給料は一定額認められている(妻の場合は86万円まで、妻以外の家族では50万円まで。ただし家族への給料は、事業所得の半分以下とすること)。

ただ家族への給料を規定以上に支払った場合、経費として認められない代わりに、もらった家族には事実上税金がかかってこない。だからどんぶり勘定でやっている家族事業者などは、白色申告のほうが有利になっているケースが多いのだ。

このように白色申告は、青色申告に比べて決して不利だとはいえないのだ。

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