元国税調査官が語る、青色申告より白色が有利の訳 小規模事業者が知るべきメリット・デメリット

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②の家族に給料が払えることはけっこう魅力がある。家族に給料を払って収入を分散すれば、税金は大きく軽減できるからだ。

また③の事業の赤字を3年間繰り越せるというのも、それなりに魅力がある。以前に大きな赤字があれば、それを繰り越すことで税金を大幅に減らすことができるからだ。

青色申告のメリットは、この2つに絞られるといえる。

青色申告の2つのデメリット

次に青色申告のデメリットを述べたい。

①記帳が大変であること
②税法の制約が厳しくなること

以上の2点が青色申告の大きなデメリットである。

①記帳の大変さについてだが、青色申告は原則として複式簿記を行い、関係帳簿をほぼ完全に整備しておかなければならない。

これは、会計初心者にとっては、かなり大きな負担である。税務署や青色申告会(税務署が肝いりで作った会計指導団体)などでは、記帳の指導も行っているが、複式簿記を素人が自分だけで作るのは事実上無理であり、税理士に頼む必要が生じると思われる。

青色申告の制度には、簡易な記帳の方法も認められているが、これもそれなりに難しい。そして簡易な記帳では、所得控除の特典が65万円ではなく、10万円になってしまう。つまり税率が10%の人ならば、たった1万円の節税にしかならない。

青色申告で簡易の記帳を選択するくらいならば、正式の青色申告にしたほうがいいだろう。

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