日韓に手を結ばせてアメリカが築く中国包囲網 経済まで飲み込む「安全保障」時代の日米韓合意
オバマ政権時代、アメリカは「世界の警察官」であることをやめると宣言し、中東地域などから手を引くとともに、アメリカの外交・安全保障政策の軸足をアジアにシフトすることを宣言した。
これは中国の台頭という現実を前に、対中政策に比重を移すというアメリカの戦略の転換だが、相対的に国力の低下しているアメリカは冷戦時代のようにすべてを自分で担うことはできず、同盟国の負担を求めざるをえない。
そこで不可欠になったのが日米韓という枠組みと、日本と韓国の応分の負担だった。
多国間の枠組みを次々と創設
アメリカの対中戦略は日米韓だけではない。
アジア地域では同じようにQUAD(日米豪印戦略対話)、AUKUS(豪州、英国、アメリカ間の軍事同盟)という多国間の枠組みを作っている。また経済関係ではIPEF(インド太平洋経済枠組み=日米韓豪、ASEANの一部諸国など14カ国が参加)も創設し、多様で多層的な国家グループを作ることで対中包囲網を築こうとしている。
バイデン大統領のキャンプデービッドの合意に向けた行動は、アメリカの対中戦略や国益から考えれば理にかなったものである。タイミング的にも、アメリカはまもなく次期大統領選に向けて「内政の季節」に入る。そのギリギリのタイミングだったともいえるだろう。
日本にとってもキャンプデービッドの合意は、長年の懸案の解決という意味では歓迎できる面はあるだろう。しかし、違和感が残る。
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