副業で300万円のジム買った会社員の成功の極意 個人が会社を買収して資本家になれる時代が来た

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数日後に1年分のP/Lが送られてきて確認したところ、やはり営業利益が年間300万円近く出ていました。8月の売り上げがゼロでしたが、それはトレーナーが新型コロナウイルスに感染して、1カ月まるまる店を閉めたからだと説明を受けました。私はなぜこんなに安いのかという疑念を拭えないまま、面談に臨むことになりました。

東京から車で2時間かけて前橋市の店舗に行きました。やはり店の立地は最高でした。ロードサイドで視認性がよく、人も車もバンバン通る。そこに駐車場が3台分ついている。これで8万円という家賃は都内では考えられません。

お客様とトレーナーのマンツーマンレッスンなので、店舗にいるのはトレーナー1人でいい。入金はキャッシュレスでレジに現金を取りにいく必要もなく、オーナーの手間もかからない。会員制で固定客はついている。スケジュールを見せてもらうと、予約の枠はまだまだ空いているのに、利益は十分に出ている。スケジュールを埋められれば、さらに利益が上がることもわかりました。

オーナーは私よりも1つ年下で、とてもさっぱりした印象の人物でした。お互いざっくばらんに自分自身のこれまでのことを伝え合い、私は「気が合った」と感じました。そこで私は、なぜこんなにも安いのかを聞き出したくなり、「300万円という価格は、オーナーさん的にはどういう根拠で出したんですか」と聞きました。

すると、「他の店舗もそれくらいの値段で譲渡したので」という答えが返ってきました。どうやらその金額は、自分がこれまでに出したお金と掛けた時間を勘案して、これくらいで譲りたいというざっくりしたもので、純資産+営業利益の何年分といった計算式は知らないようでした。

こっそり店の前に張り込んだ

「なんかこの話、うますぎじゃないか」という疑念は拭えませんでしたが、一方で「こんないい案件はすぐに他の人に取られてしまうかも」という焦りもありました。

実は個人M&Aに興味を持ち、具体的に動き始めたころ、入札である法人に負けてしまったことがあります。その案件こそパーソナルジムだったのです。その時の後悔が蘇りました。

しかし、即決するにはやはり判断材料が足りない。少しでも時間が欲しいと思った私は、「超買いたいです」と意向を伝えたうえで、翌週に体験レッスンの予約を入れ、「オーナーさんが大切に育ててきた事業なので、ぜひ一度体験させてほしい。そのうえで、値段付けも含めて、もう少しこの事業の価値を見させてください」とお願いしました。

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