農地のマーケットが次なるバブル候補だ--ロバート・J・ シラー 米イェール大学経済学部教授
投機的なバブルに関する著作がある人は誰でもそうだが、私も「また大きな投機的バブルが起こりそうですか。その場合、住宅バブルですか、それとも株式バブルですか」と頻繁に質問される。
私には投機的なバブルが起こるのではないかという直観のようなものはあるが、実際にバブルが起こるかどうかはわからない。バブルの発生を正確に予測することはできない。
バブルは一種の社会的な伝染病で、個人の間で感染して、次々に広がっていくというのが、私の考え方だ。感染率が上昇し、バブルを支持する考えが影響力を持つようになったときにバブルが始まる。だが、感染率は人々の発想のパターンによって決まるので、判断するのは難しい。
大きな投機的バブルは実際にはめったに起こらない(個別株の価格が上昇するという小さなバブルはつねに起こっており、それは質問に対する答えにはならない)。ただ、大きなバブルは数年にわたって続くため、それを予想することは、数年先の将来を予測するに等しい。それは2回先の大統領選挙の立候補者を予測するようなものだ。
しかし、ある市場はほかの市場よりもバブルが起こりやすいということはいえる。論理的にいえば、株式市場はバブルの起きやすい市場である。なぜなら、株式市場では極めてレバレッジ(手元資金の何倍かの資金を借りて投資をすること)の高い投資が行われているからだ。
また、過去に何度もバブルが起こった歴史もある。20世紀には1920年代、60年代、90年代と3度も大きな株式バブルが起こっている。これとは対照的に、米国では過去100年間に住宅バブルは1回しか起こっていない。それが前回の住宅バブルである。