TPPテキスト開示問題、裏で何があったのか 不可解な西村康稔内閣府副大臣の一連の発言

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1月29日、ピケティ氏と講演を行う西村康稔内閣府副大臣。TPPテキスト公開に関する一連の発言により、与党内で批判される立場になっている(写真:田村翔/アフロ)

全くもって不可解かつ奇異である。TPPテキスト公開に関する西村康稔内閣府副大臣の一連の発言のことだ。

TPPの秘匿性はかねてから問題視されてきた。

多方面で国民生活に影響する国際交渉であるにもかかわらず、その内容や交渉過程が明らかにされないからだ。

米国では連邦議員全員にテキストを公開

だが米国では3月に、連邦議員全員にテキストを公開した。ただしセキュリティ部屋での閲覧のみで、記録やコピーなどをとることはできず、携帯電話やカメラなどの持ち込みも禁じられたうえでの公開だ。セキュリティクリアランスを得たスタッフ以外との情報共有することも禁止される。違反した場合は刑事罰に課せられ、議員資格はく奪もありうるという厳しいものだった。

米政府がこのような条件付きでTPPテキストの公開に踏み切ったのは、大統領が議会へ事前通告などの条件を満たせば議会は賛否のみを問うことになるTPA法案を通すためだ。

合衆国憲法は大統領に上院の助言と承認を得て条約を締結する権原を認めると同時に、連邦議会に諸外国との通商を規制する権限を認めているが、TPA法案が通ればTPP交渉はスムーズに運ぶ。これをオバマ政権が狙った。そのためには交渉過程を開示することで、議員たちに「オバマ政権の交渉は安心できる」と納得してもらう必要があったのだ。

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